会社員でも出来る!太陽光設備投資による節税について詳細解説!
記事作成日 2020/08/23 記事更新日 2023/02/05
近年、自然エネルギーによる発電技術の向上で、個人や団体が以前よりも簡単に太陽光設備を購入することができるようになりました。会社員の方の中にも、副業として太陽光発電に投資するケースが増えてきましたね。実は、太陽光設備への投資は、節税の対象になります。
太陽光設備投資によって、どのような節税効果が期待できるのか、本記事で詳しく解説していきます。
Contents
太陽光発電で青色申告を利用する
会社員の方、個人事業主の方が太陽光設備投資で節税を行う場合、「青色申告」を利用することで、控除と経費計上を行えます。太陽光発電によって生産した電気は、電力会社に売ることで所得になります。この売買所得が、事業規模のものであると認められると、「事業所得」として確定申告することが可能です。青色申告をするだけで、所得金額から65万円が控除されます。
青色申告を行うためには、事前に手続きが必要です。以下の書類を期限内に提出するようにしてください。
- 個人事業の開業届(開業後1ヵ月以内)
- 所得税の青色申告承認申請書(開業後2ヵ月以内)
太陽光発電の減価償却で節税する
太陽光設備は、投資をした初年度に投資額すべてを経費計上することはできません。太陽光設備自体が、数年間にわたって電力を生み出してくれる「資産」という扱いになるため、「減価償却費」を算出する必要が生じます。
減価償却費とは、毎年一定の額or割合で経費にできる費用です。太陽光設備にかかった経費を分割して経費にしていく形です。太陽光設備は、耐用年数が17年と定められています。したがって、17年間で減価償却費を算出していくことになります。
太陽光発電の減価償却の方法
太陽光発電の減価償却には「定額法」と「定率法」の2つの方法があります。
1. 定額法
「定額法」では、毎年同額の減価償却費を計上していきます。償却費の計算がシンプルなので、個人事業主の方でも無理なく計上していけます。定額法の減価償却費は下記の計算式で求めます。
定額法の減価償却費=取得価額×定額法の償却率
*定額法では、耐用年数に応じて償却率が定められています。太陽光設備の場合、耐用年数が17年ですので、償却率は「0.059」になります。
2. 定率法
「定率法」では、購入・投資から年数が経過するごとに償却費の金額が減っていきます。設備の残存価値に対して減価償却が行われるため、購入した初年度が最も償却費が多くなります。定率法の減価償却費は、下記の計算式で求めます。
定率法の減価償却費=未償却残高(購入年度は取得原価)×定率法の償却率
上記の式で計算した減価償却費が「償却補償額(資産の取得価額×耐用年数に応じた保証率)」を下回った場合は、定率法の償却率の代わりに「改定償却率」を使用して、減価償却費を計算します。
改定償却率とは、改定取得価額(調整前償却額が、初めて償却保証額に満たない年の期首末償却残高)に対して、その償却額がその後に同一となるよう、当該資産の耐用年数に応じた償却率のことです。耐用年数17年の資産に対する改定償却率は「0.125」、保証率は「0.04038」となっています。
太陽光発電の減価償却の具体例
次に、太陽光発電の減価償却の具体例について、定額法と定率法のパターンをそれぞれ見ていきましょう。
1. 定額法の具体例
定額法では、毎年同じ額の償却費を算出します。太陽光発電の耐用年数は17年ですので、たとえば1,700万円の太陽光発電を設備投資したとすると、減価償却費は
1,700万円×0.059=約100万円
となります。1年間の利用で100万円分の価値が減ったということになります。
2. 定率法の具体例
定率法では、購入当初の償却費を大きくする分、徐々に償却額が少なくなっていきます。耐用年数17年の資産の場合、定率法償却率は0.118となります。したがって、初年度の償却費は、
1,700万円×0.118=約200万円
となります。翌年は、1,700万円から200万円を引いた金額に対して償却率をかけていきます。よって、翌年の償却額は、
(1700万円―200万円)×0.118=177万円
となります。償却補償額が、
1,700万円×保証率(0.04038)=約69万円
となっているので、償却費が69万円を下回ったら、改定償却率を使って減価償却を行っていきます。
太陽光設備投資は、即時償却はできない
自家用の太陽光設備を導入した場合、以前は「中小企業経営強化税制」と呼ばれる中小企業支援制度の対象となり、即時に設置費用の100%を経費計上することが可能でした。
ただし、現在は太陽光発電投資は中小企業経営強化税制の対象外となっています。購入した年に太陽光発電設備の発電全額を経費計上することはできないので、注意してください。
太陽光設備を購入する際の融資制度
太陽光設備を購入する際は、まとまった金額が必要になります。設備の規模にもよりますが、初期費用が1,000万円以上になるケースが多いです。一括で金額を用意するのが難しい場合は、太陽光設備購入用のローン、融資を利用することをおすすめします。
代表的なものは以下の通りです。
- ソーラーローン(アプラス、ジャックス)
- 日本政策金融公庫からの融資
1. ソーラーローン(アプラス、ジャックス)
ソーラーローンとは、太陽光設備を購入する際に利用できる低金利のローンです。アプラスとジャックスのソーラーローンがメジャーなローンになります。
金融機関名 | アプラス | ジャックス |
---|---|---|
金利タイプ | 固定 | 固定 |
金利 | 3% | 要問い合わせ |
返済期間 | 最長15年 | 要問い合わせ |
担保 | なし | 要問い合わせ |
通常のローンよりも、金利が低く抑えられているので、返済の負担を最小限にすることが可能です。
2. 日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫とは、財務省所管の金融機関で、民間の金融機関よりも低金利で融資を行ってくれます。日本政策金融公庫では、環境・エネルギー対策資金として、非化石エネルギーの導入に対する融資を行っています。融資限度額は7,200万円で、返済期間は「20年以内」です。金利は1.76%~2.45%となっています。
日本政策金融公庫からの融資を受けるためには、支店の窓口に出向いて、申込をする必要があります。お住まいの近くにある支店へ、まずは問い合わせてみてください。
「先端設備等導入計画」による固定資産税の減免を受ける方法
国の中小企業庁は、中小企業・小規模事業者などが設備投資を通じて労働生産性の向上を計るために、「先端設備等導入計画」と呼ばれる計画を策定しています。先端設備等導入計画の同意を得ている市区町村に企業の所在がある場合に、各種条件をクリアすることで「固定資産税の減免」を受けることが可能になります。太陽光設備投資も、先端設備等導入計画の対象となっております。
先端設備等導入計画の要件は、下記の通りです。
要件 | 内容 |
---|---|
計画期間 | 3年、4年、5年 |
労働生産性 | 計画期間内で、直近の事業年度末と比較して、年平均3%以上向上すること <計算式> (労働利益+人件費+減価償却費)/(労働者数または労働者数×1人あたり年間就業時間) |
先端設備等の種類 | 労働生産性の向上に必要な生産、販売活動等の用に直接供される下記設備 <減価償却資産の種類> 機械装置、測定工具および検査工具、器具備品、建物付属設備、ソフトウェア、事業用家屋、構築物 |
計画内容 | ・導入促進指針および導入促進基本計画に適合すること ・先端技術等の導入が円滑かつ確実に実施される見込みがあること ・商工会議所など、認定経営革新等支援機関において、事前確認を行った計画であること |
*市区町村により、要件の内容が若干異なることがあります。
これらの要件をクリアして、先端設備等導入計画の認定を受けた企業・個人事業主のうち、下記の要件をクリアすることで「固定資産税の減免」を適用することが可能になります。
対象者 | 資本金額1億円以下の法人または従業員数1,000人以下の個人事業主(大企業の子会社等を除く) |
---|---|
対象設備 | 生産性が、旧モデルと比較して年平均1%以上向上する下記の設備 <資産の種類(最低取得価格、販売開始時期)> ・機械装置(160万円以上、10年以内) ・測定工具、検査工具(30万円以上、5年以内) ・器具備品(30万円以上、6年以内) ・建物付属設備(60万円以上、14年以内) ・構築物(120万円以上、14年以内) ・事業用家屋(取得価額の合計額が300万円以上の設備投資等とともに導入されたもの) |
その他要件 | ・生産、販売活動等に直接利用されるもの ・中古資産でないこと |
特例措置 | 固定資産税の課税標準を、3年間「ゼロ~1/2に軽減」する |
固定資産税がゼロになるか、それとも1/2程度に減るかは地方自治体によって異なります。
参考として、こちらのリンク
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/seisansei/2020/200630koteishisan.pdf
(中小企業庁が公表しているもの)に、先端設備等導入に伴う固定資産税ゼロを実現した自治体が一覧になって掲載されていますので、確認してみてください。
まとめ
太陽光発電設備を導入することで、減価償却での経費計上や一括での経費計上が可能になります。太陽光発電で生産した余剰電力は、電力会社に売却することも可能ですので、節税をしながら利益を出すこともできます。太陽光発電事業は、利回りも確保できる費用対効果の高い節税ですので、まだ導入されていない場合は是非、検討してみてください。
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