福利厚生費を出して節税しよう【社食・旅行・制服】
記事作成日 2020/10/14 記事更新日 2023/02/05
従業員の福利厚生を目的として支出する福利厚生費。その全額が損金として認められるため、節税対策としても注目を集めています。一方、福利厚生費とその他の費用(交際費や給与など)はあいまいな部分がとても多く、区別するのが非常に難しいです。
本記事では、定義づけが難しいとされている「福利厚生費」の範囲を、具体例を用いて解説しています。会社経営には欠かせない福利厚生費を理解し、正しい節税を行いましょう。
Contents
福利厚生費とは
福利厚生費とするためには下記の3つの満たしていることが条件です。
≪福利厚生とするための条件≫
- 福利厚生の対象が全従業員であること
- 現物支給ではなく、給与とならない範囲の福利厚生サービスであること
- 社会通念上(常識的)の範囲で提供されるサービス等であること
また、福利厚生は大きく2つに分類されます。
- 法定福利厚生・・・事業者負担分が法律的に「義務」付けられた福利厚生をいい、社会保険料や労働保険が該当します。
- 法定外福利厚生・・・会社が独自に設けることのできる福利厚生をいい、住宅手当や健康診断代が該当します。
2つのうちどちらに該当するかによって税務上の取り扱いが変わります。
福利厚生費の定義
そもそも福利厚生は、従業員のやる気やスキル、生産性を向上させることを目的としています。ここで混在しやすい経費が「給与」です。給与はあくまで労働の対価として会社が従業員に支払う費用であり、従業員のモチベーションを上げるために支出するのとは多少異なります。
給与と大きく異なる点としては、福利厚生費は従業員の業務に直接関連しないものでも対象となるところです。例えば、「社食」や「社員旅行」、「制服」のために支出した経費も一定の条件を満たしていれば、全額福利厚生費として損金計上できるのです。
例に挙げた費用は、法律で義務化されているわけではないものの、従業員の能力を最大限発揮させるために会社が負担する費用です。つまり、福利厚生費とは給与以外のさまざまなサービスを従業員に対して提供していると考えてください。
「社食」「旅行」「制服」を福利厚生費とするための条件
前述で述べたように法定外福利厚生は、会社がどのような制度を導入するかを自由に決めることができるため、福利厚生の範囲が非常に難しいです。ここからは、「社食」「旅行」「制服」を福利厚生費として全額経費計上するための条件をご紹介いたします。
社食を福利厚生にする条件
従業員や役員等を対象とした昼食代や社員食堂を福利厚生費として計上するためには以下の条件を満たしている必要があります。
- 飲食代の従業員負担分が50%以上であること
- 月額で従業員一人あたりの飲食代が税抜価格3,500円以下であること
「食事の価額-従業員が負担している金額=従業員一人当たりの飲食代」
※社員食堂などで調理をしてから従業員へ食事を提供する場合は食事の材料費が食事の価格に該当します。
ただし、社会通念上の範囲で残業者や日直者に提供する飲食代は全額福利厚生費として認められます。一般的な飲食代の範囲は1,000円前後でしょう。明確な金額基準はないものの税務調査等で高額すぎると判断された場合は、給与に修正しなければなりません。また、実額支給(現金支給)の場合は、給与手当とみなされ福利厚生費と認められないので注意が必要です。
旅行を福利厚生にする条件
従業員や役員等を対象とした旅費交通費や社員旅行を福利厚生費として計上するためには以下の条件を満たしている必要があります。
- 全従業員の50%以上が参加していること
※契約社員やパート、アルバイト従業員も含みます。 - 国内旅行の場合は4泊5日以内であること
※国外旅行の機内泊は旅行期間に含みません。
旅行費に関しても金額に明確な基準はないものの、年1回の一般的な社員旅行の範囲は1人当たり10万円程度でしょう。このとき、取引先の社員が同行し、それらの旅費交通費や飲食代を負担した場合は、「交際費」に該当します。
また、実額支給や福利厚生条件を満たしていない場合は、社食と同様に給与手当として修正しなければなりません。
制服を福利厚生にする条件
従業員や役員等を対象とした制服代や衣装代を福利厚生費として計上するためには以下の条件を満たしている必要があります。
- 私用には着用せず勤務先または職務を行う時に着用する制服等であること
- 部署ごとまたは職場全員を対象に制服等を支給していること
- 会社の社名などのログマークが明記されていること
つまり、全従業員に配布され、会社ロゴマークの入った職務上のみ着用する制服は福利厚生として認められるということです。一部の社員が営業等のため着用するスーツ代は福利厚生費の範囲外です。この場合は、現物給与に該当します。
まとめ
福利厚生費は全額損金計上できる分、その範囲があいまいで判断が難しい費用のひとつです。経費性の違いにより税務処理が細かく変わるため、会計業務に準ずる方や経営者の方は経費の範囲と違いについては正しい知識を身につけましょう。
併せて読んでおきたい、福利厚生費に関する節税記事はこちら
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