こんな福利厚生費は節税にならない!よくある間違いを解説

こんな福利厚生費は節税にならない!よくある間違いを解説

従業員の福利厚生を目的として支出する「福利厚生費」。

福利厚生費は「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の大きく2つに分けることができます。

  1. 法定福利厚生・・・社会保険料や労働保険料など
  2. 法定外福利厚生・・・健康診断費用や専ら従業員の慰安のために行われる社員旅行費用など

法定福利厚生や法定外福利厚生のように従業員に支出したものの中には、
給与」や「交際費」に該当するケースがあります。
どの費用に該当するかによって税務上の取り扱いも異なることから
税務調査でもよく争点となるポイントです。

本記事では福利厚生費のよくある間違い「交際費」と「給与」を比較・解説しています

併せて読んでおきたい、福利厚生費に関する節税記事はこちら

福利厚生費とは

福利厚生とは、従業員(正社員・契約社員(有期雇用労働者)・パートタイム労働者)と
その家族に対して、給与・賃金のほかに提供する支援やサービスのことをいいます。

福利厚生費として費用計上するためには、
原則、従業員の全員を支出基準対象とする必要があります。
従業員に提供する支援やサービスは会社によってさまざまです。

≪福利厚生費に該当する費用例≫

  • 社宅(賃貸料相当額の50%以上を従業員が負担する場合)
  • 健康診断費用(※以下4つが条件)
    ※①従業員すべてが対象②健康診断費用全額会社負担③常識の範囲内の検査④会社が直接支払う
  • 新年会や忘年会(※以下3つが条件)
    ※①従業員すべてが対象②費用負担額が均一③社会通念上(常識的)の範囲

また、2020年4月1日からパートタイム・有期雇用労働法が施行され、
正社員とパートタイム労働者、契約社員の間に特別な待遇差が無くなりました。
これにより、福利厚生についても従業員はみな同等の待遇を受けられるようになりました。

2種類の福利厚生

冒頭でご紹介したように福利厚生の種類は大きく2種類に分けることができます。

  1. 法定福利厚生
  2. 法定外福利厚生

2つのうちどちらに該当するかによって税務上の取り扱いも異なるので、
正しい理解をしましょう。

①法定福利厚生

法定福利厚生とは、事業者負担分が法律的に「義務」付けられた福利厚生です。

従業員とその家族の健康維持や生活のために設けられる必要最低限の社会保障制度であり、
法定福利厚生がない会社は法律違反となります。

≪法定福利厚生の種類≫

「社会保険」

  • 健康保険料⇒従業員50%負担
  • 介護保険料⇒従業員50%負担
  • 厚生年金保険料⇒従業員50%負担
  • 子ども・子育て拠出金⇒会社負担のみ

「労働保険」

  • 雇用保険料⇒会社負担2/3、従業員負担1/3
  • 労災保険料⇒会社負担のみ

②法定外福利厚生

法定外福利厚生とは、会社が独自に設けることのできる福利厚生です。

法定外福利費は、法定福利厚生のように法律上の義務ではなく、
どのような制度を導入するかを会社が自由に決めることができます

最近では、オリジナル制度を導入し注目を集める会社も少なくありません。

≪法定外福利厚生の種類≫

「住宅関連」

  • 家賃補助
  • 住宅手当

「生活サポート」

  • 昼食補助
  • 保険
  • 通勤費

「医療関連」

  • 健康診断
  • 人間ドック
  • メンタルケアサポート

「慶弔関連」

  • 従業員の祝儀
  • 従業員への見舞金
  • 慶弔金

福利厚生費と交際費の違い

福利厚生費と交際費の違いについて、国税庁のHPでは以下のように述べています。

No.5261 交際費等と福利厚生費との区分
[令和2年4月1日現在法令等]

交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する
接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。
ただし、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために
通常要する費用については交際費等から除かれ、福利厚生費などとされます。

参考:国税庁HP

両社の違いのイメージとしては、社内全従業員を対象とする費用は福利厚生費、
社外取引先等の接待に支出する費用は交際費と分けましょう。

ただし、社内従業員を対象とした費用でも、
社会通念上(常識的)の範囲を超える福利厚生は「社内交際費」に該当することもあります。

また、交際費の損金(経費)には以下の限度額が定められています。

  • 中小法人(資本金1億円以下)・・・接待交際費×50%または800万円の控除限度
  • 大法人(資本金100億円以下)・・・接待飲食費×50%の控除限度
  • 大法人(資本金100億円超)・・・全額経費計上できない

一方、福利厚生費は全額損金計上できます。

≪交際費と福利厚生費の範囲例≫

  • 結婚式を挙げた当事者が従業員等である場合に支出する祝い金⇒福利厚生費
  • 会社従業員やその家族に不幸があった場合に支出する香典代⇒福利厚生費
  • 社会通念上の範囲内で従業員全員を対象とした忘年会や新年会にて支出した飲食代⇒福利厚生費
  • 結婚式を挙げた当事者が社外の人である場合に支出する祝い金⇒交際費
  • 取引先の従業員に不幸があった場合に支出する香典代⇒交際費
  • 取引先等を交えた接待飲食代(5,000円を超える)⇒交際費

福利厚生費と給与の違い

役員報酬や従業員の給料は福利厚生費と同様に全額損金計上できます。

これらの大きな違いは従業員への支出の目的です。

  • 給与の目的⇒労働の対価として支払う費用
  • 福利厚生費の目的⇒従業員への福利厚生に伴う費用

また、従業員へ給与として支出する場合には、
会社は源泉徴収義務者となるため所得税を控除する処理が必要
になります。

実際は、給与から社会保険料や住民税(特別徴収の場合)も控除するため、
経理処理の手間が増えることも想定しなければなりません。

つまり、給与で支払う場合には経理処理の手間がかかるものの、
福利厚生費に該当すれば全額損金計上でき、かつ経理処理の手間も省けます。

≪給与と福利厚生費の範囲例≫

  • 従業員の半数以上が参加する社員旅行(4泊5日以内)⇒福利厚生費
  • 従業員全体を対象とした一人当たり3,500円以内の昼食代(従業員負担50%以上)⇒福利厚生費
  • 役員のみの社員旅行⇒役員賞与(損金不算入)
  • 社会通念上の範囲を超えた飲食代⇒給与

まとめ

今回は福利厚生費についての解説と交際費・給与との違いについて
それぞれご紹介いたしました。

 

当社は、本記事のような「福利厚生」とそれらに類する経費の違いについてなど、
お気軽なご相談にも対応しております。
専門家の確かなアドバイスのもと、福利厚生費とそれ以外の経費をしっかり区別し、
税務調査に対応できる正しい処理を行いましょう

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