【別会社を設立して節税】複数法人運営のメリットを解説

【別会社を設立して節税】複数法人運営のメリットを解説

記事作成日 2020/07/25    記事更新日 2023/02/05

法人運営の中で、意外と知られていない節税方法が「別会社の設立」です。本体の法人とは別に法人を設立することで、高い節税効果を享受できます。

今回は、別会社を設立することで実際にどんな節税効果があるのか、詳細を解説していきます。

別会社を設立して節税ができる

現在経営している法人とは別に、もう1つ法人を設立することで節税効果を得られます。節税効果を得るには「中小法人」を設立することが条件です。

中小法人とは「資本金が1億円以下」の法人を指します。初めて法人を設立するときに、税理士から「資本金額をどうするか」話をされた方も少なくないと思います。中小法人は、大法人と比べて税率が優遇されています。優遇内容は下記の通りです。

  • 年間所得800万円以下の部分に法人税・事業税の軽減税率が適用される
  • 消費税が免除される
  • 交際費の範囲が広くなる
  • 繰越欠損金が控除・繰戻還付される
  • 外形標準課税が適用されない
  • 設備投資に対して優遇措置がある

年間所得800万円以下の部分に法人税・法人事業税の軽減税率が適用される

中小法人は普通法人と比べて、法人税と法人事業税が低く設定されています。

法人税

区分 税率
中小法人(所得金額800万円以下) 15%
中小法人(所得金額800万円を超えた部分) 普通法人 23%

中小法人であっても、資本金5億円以上の大企業の傘下にいる場合は、軽減税率が適用されず、税率は23.2%となります。法人事業税の税率は、都道府県によって異なってきますが、おおむね3%~5%台となります。普通法人になると税率が7%台になってくるので、2%~4%ほど税率が高くなりますね。

消費税が免除される

新規に設立された法人のうち、資本金が1,000万円以下の法人は最長2年間、消費税の納税が免除されます。また、法人の売上が1,000万円未満の場合は、設立から2年以上過ぎても消費税が免除されます。売上額を調整すれば、ずっと消費税免除の状態をキープすることが可能です。

交際費の範囲が広くなる

普通法人の場合だと、交際費の経費計上に制限が加わりますが、中小法人であれば交際費「年間800万円」まで全額経費にすることが可能です。大元の会社で捻出している交際費を新会社で上手く計上すれば、トータルで経費計上できる交際費が大きくなりますね。

繰越欠損金が控除・繰戻還付される

資本金が1億円を超える法人だと、過去10年間の間で発生した繰越欠損金のうち、事業年度の所得金額の「100分の50」までの金額を所得金額から控除することが可能です。これが資本金1億円以下の企業になると、更に範囲が拡大されます。所得金額と過去10年間に発生した繰越欠損金とを比較して、繰越欠損金の方が多い際は、所得金額を「ゼロ」にして計上することが可能です。中小法人を運営していて、仮に大きな欠損金が生じたとしても、それを繰り越して会計に適用できます。

また、資本金1億円以下の法人には「繰越欠損金の繰戻還付」も適用されます。繰越欠損金の繰戻還付とは、欠損金が生じた年度で、その欠損金額を当該年度開始日よりも1年前に開始した事業年度に繰り戻して、法人税額の還付を受けられる制度のことです。たとえば、前年期で2,000万円の課税所得が発生して、300万円の法人税を納めたと仮定します。次の期で、2,000万円の欠損が生じたとすると、前年に収めた法人税300万円を還付してもらうことが可能になります。

損失がでたら、払った税金が戻ってくるというもので、普通法人よりも節税の度合いが強くなります。

外形標準課税が適用されない

外形標準課税とは、所得に加えて資本金、賃借料、報酬給与などに対しても課税する制度のことです。外形標準課税によって、資本金1億円超の法人は赤字でも各種地方税を納めなければなりません。これに対して、資本金1億円以下の法人に対しては、外形標準課税が適用されません。余計な税金を課税されないので、こちらも節税効果を期待できます。

設備投資に対して優遇措置がある

中小法人が設備投資を行った場合、「中小企業投資促進税制」と「中小企業等基盤強化税制」の2つの優遇税制が適用されます。

中小企業が設備投資を行うと、30%の特別減価償却、もしくは7%の税額控除の優遇措置が適用されます。中小企業投資促進税制、中小企業等基盤強化税制の詳細は下記の通りです。

中小企業投資促進税制 中小企業等基盤強化税制
対象業種 ほぼ全業種 卸売業、小売業、飲食店業、サービス業
対象事業者 青色申告書を提出する中小企業者等
機械・装置 金額(取得):160万円以上* 金額(取得):280万円以上
金額(リース):210万円以上 金額(リース):370万円以上
器具・備品 金額(取得):120万円以上
金額(リース):160万円以上

*中小企業投資促進税制における機械・装置の優遇対象は、下記の9品目になります。

  • 電子計算機
  • デジタル複写機
  • メモリー送受信機能付普通紙ファクシミリ
  • デジタル構内交換設備
  • デジタルボタン電話設備
  • 電子ファイリング設備
  • マイクロファイル設備
  • ICカード利用設備
  • 冷房用又は暖房用機器

中小企業投資促進税制、中小企業等基盤強化税制で対象となる設備は「新品のみ」となります。あくまでも事業用に投資したもので、正常に稼働することが条件なので、中古の設備は対象外となっています。

まとめ

中小法人を設立することで、普通法人では受けられなかった税制の優遇措置が受けられるようになります。

資金を本体の法人から中小法人に移して事業分散をすれば、本体の法人のみで利益を上げた場合よりも、税金額を抑えることができます。結果的に、会社のもとに残るお金を増やすことができるので、中小法人の設立は非常に節税効果が高いといえます。事業が軌道に乗り、毎年安定して利益を出せるようになったら、中小法人を設立することも1つの選択肢としてみてください。

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