最大80%減額!相続税節税に役立つ小規模宅地等の特例とは?

最大80%減額!相続税節税に役立つ小規模宅地等の特例とは?

記事作成日 2021/03/18    記事更新日 2023/02/05

お子様やお孫様へ不動産を相続する際、想像以上に相続税が高くて驚くことも多いのではないでしょうか。そのような場合に役立つのが「小規模宅地等の特例」です。被相続人が利用した小規模の土地であれば、居住用や事業用にかかわらず最大80%もの評価額減額ができる制度です。

今回は、小規模宅地等の特例の対象となる土地や適用要件について詳しく解説します。減額率シミュレーションもご紹介しますので、具体的な特例適用額までイメージできます。

小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たすと相続された土地の評価額を最大80%減額できる制度です。居住地以外にも事業や賃貸に利用していた土地も対象になり、なおかつ減額率が非常に高いため、相続税の節税対策として有効な手段と言えます。

ただし、減額率が高いこともあり、小規模宅地等の特例には複雑で厳しい要件が定められています。対象となる土地や要件をしっかりと理解し、適切な節税対策を行いましょう。

小規模宅地等の特例の対象となる3種類の土地について

小規模宅地等の特例の対象となる土地は、以下3通りに分類されます。

・特定居住用宅地等:被相続人が住んでいた土地
・特定事業用宅地等:被相続人が事業を営んでいた土地
・貸付事業用宅地等:被相続人が不動産賃貸業を行っていた土地

それぞれの土地は、小規模宅地等の特例の要件が異なります。以下で詳しく解説していきましょう。

特定居住用宅地等

特定居住用宅地等とは、被相続人(故人)が住宅として利用していた土地、あるいは被相続人と生計を一にする親族が住宅として利用していた土地です。たとえ被相続人と親族が別居していたとしても、仕送りなどで生計を共にしていた場合は特定居住用宅地等に適用されます。

特定居住用宅地等の適用を受ける主な要件は次の通りです。

・被相続人が住んでいた土地を配偶者が相続(住み続ける必要はない)
・被相続人が住んでいた土地を同居親族が相続し、相続税申告期限まで住み続ける
・被相続人が住んでいた土地を生計を一にする親族が相続し、相続税申告期限まで住み続ける

相続人が被相続人の配偶者であれば、故人が生前に住んでいた土地に住み続けなくても小規模宅地等の特例を適用できます。一方、同居親族や生計を一にする親族が相続する場合、その土地に住み続けなければ小規模宅地等の特例は適用されません。

対象となる土地 ・被相続人が住宅として利用していた土地
・被相続人と生計を一にする親族が住宅として利用していた土地
適用要件 ・被相続人が住んでいた土地を配偶者が相続(住み続ける必要はない)
・被相続人が住んでいた土地を同居親族が相続し、その土地に相続税申告期限まで住み続ける
・被相続人が住んでいた土地を生計を一にする親族が相続し、その土地に相続税申告期限まで住み続ける

特定事業用宅地等

特定事業用宅地等とは、被相続人が生前に事業用として利用していた土地です。また、被相続人と生計を一にする親族が事業に利用していた場合も特定事業用宅地等として認められます。

特定事業用宅地等の適用を受ける要件は次の通りです。

・被相続人が亡くなる前からその土地で事業を営んでいる
・被相続人が相続税の申告期限まで事業を継続している
・相続開始から3年より前に事業としてその土地を利用している

従来は相続を開始する直前に事業を開始しても特定事業用宅地等として認められましたが、平成31年度の税制改正により、相続開始前3年以内に事業を始めた土地は小規模宅地等の特例の対象外になりました。

ただし例外として、事業に使用される建物などの価額が土地価額の15%以上の場合、事業を始める時期にかかわらず小規模宅地等の特例の対象に含めることができます。

対象となる土地 ・被相続人が生前に事業用として利用していた土地
・被相続人と生計を一にする親族が事業に利用していた土地
適用要件 ・被相続人が亡くなる前からその土地で事業を営んでいる
・被相続人が相続税の申告期限まで事業を継続している
・被相続開始から3年より前に事業としてその土地を利用している

貸付事業用宅地等

貸付事業用宅地等とは、相続する土地の上に賃貸マンションを建てるなど、被相続人が不動産貸付業に利用していた土地です。また、被相続人と生計を一にする親族が不動産貸付業※に利用していた場合も貸付事業用宅地等として扱われます。

※その他、駐車場・駐輪場業も該当します。
また、事業的規模とはいえないものについても「準事業」として対象となります。

貸付事業用宅地等の適用を受ける要件は次の通りです。

・被相続人が亡くなる前からその土地で不動産貸付業を営んでいる
・被相続人が相続税の申告期限まで不動産貸付業を継続している
・相続開始から3年より前に不動産貸付業としてその土地を利用している

先ほどお伝えした特定事業用宅地等と同様、貸付事業用宅地等に関しても平成30年度に税制改正が行われました。税制改正により、相続開始前3年以内に不動産貸付業を始めた土地は、貸付事業用宅地等として認められません

対象となる土地 ・被相続人が不動産貸付業に利用していた土地
・被相続人と生計を一にする親族が不動産貸付業に利用していた土地
適用要件 ・被相続人が亡くなる前からその土地で不動産貸付業を営んでいる
・被相続人が相続税の申告期限まで不動産貸付業を継続している
・相続開始から3年より前に不動産貸付業としてその土地を利用している

小規模宅地等の特例の減額率シミュレーション

小規模宅地等の特例は土地の評価額を最大80%減額できますが、相続する土地の種類によって減額率や限度面積が異なります。特定居住用宅地等と特定事業用宅地等、貸付事業用宅地等の3種類の土地について、以下で減額率のシミュレーションを行ってみました。

各土地の減額率と限度面積

小規模宅地等の特例では、特定居住用宅地等と特定事業用宅地等、貸付事業用宅地等の3種類の土地について、以下のように減額率と限度面積が設定されています。

減額率 限度面積
特定居住用宅地等 80% 330平方メートル
特定事業用宅地等 80% 400平方メートル
貸付事業用宅地等 50% 200平方メートル

小規模宅地等の特例の減額率シミュレーション

小規模宅地等の特例では、限度面積の範囲内であれば各土地に応じた減額が適用されます。

たとえば特定居住用宅地等の場合、300平方メートルで評価額2,000万円の土地を相続すると、計算式「2,000万円×80%」で求められる1,600万円が特例適用額です。

土地の種類 特定居住用宅地等
地積 300平方メートル(限度面積の範囲内)
相続評価額 2,000万円
特例適用額 1,600万円
計算式 相続評価額2,000万円×減額率80%

一方、限度面積を超え、400平方メートルで評価額3,000万円の土地を相続した場合、
限度面積を超えた70平方メートルは減額できません。
計算式「3,000万円×330/400平方メートル×80%」で求められる
1,980万円が特例適用額となります。

土地の種類 特定居住用宅地等
地積 400平方メートル(限度面積より70平方メートル多い)
相続評価額 3,000万円
特例適用額 1,980万円
計算式 相続評価額3,000万円×330/400平方メートル×減額率80%

まとめ

規模の小さい居住地や事業用土地に適用される小規模宅地等の特例相続する土地の評価額を最大80%減額できるため、相続税の節税対策として高い効果を発揮します

ただし、規模が小さいからといってすべての土地が減額できるわけではありません。土地ごとの適用要件や限度面積をしっかりと理解し、正しく小規模宅地等の特例を活用しましょう。

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