株式会社と合同会社の違い(節税の観点)

株式会社と合同会社の違い(節税の観点)

記事作成日 2020/09/15    記事更新日 2023/02/05

1.合同会社とは?

株式会社と合同会社の違いと言われたときに、株式会社は聞いたことあるが、合同会社は聞いたことがないかもしれません。ということで、合同会社をみていきましょう。

合同会社は、旧商法から会社法に変わったタイミングで新たに設計された企業の形態です。合同会社の法的性質は、株式会社と同じ間接有限責任となっています。つまり、合同会社の法的責任は出資者の出資額以上の責任を負うことはないということになります。この点は株式会社と同様となります。一方、株式会社と異なる点があります。その違いとは、株式会社は、会社の所有者である出資者と事業を行う経営者が異なるのに対して、合同会社は、出資者と経営者が同一であるという点です。

出資と経営が分離することで客観的な経営ができることに対して、同一であれば柔軟な経営が可能となります。株式会社と合同会社では性質的に似ている点もありますが、異なる点があることがわかりました。コスト面や税制面でも同様のことがありますので、共通している点や異なる点をみていきましょう。

2.株式会社と合同会社の共通点

株式会社と合同会社では大きくいうと2つの共通点があります。先述した通り、株式会社と合同会社はともに①間接有限責任となっておりますので、出資額以上に責任を負うことはありません。ちなみに、直接無限責任となる合名会社や合資会社とは異なります。

また、株式会社でも合同会社でも、②法人ということになるので法人税や消費税が適用されることになります。つまり、それぞれどちらの形態を取ったとしても、税制面においては差が生じず、メリットやデメリットが生じることはありません

以上が、株式会社と合同会社の共通点でした。

3.株式会社と合同会社の違い

一方で、株式会社と合同会社で異なる点は細かいものもあわせると6つあります。

株式会社と合同会社では①出資と経営の観点で異なります。出資と経営が一致している合同会社では迅速な意思決定が可能であるため、スピーディーな経営が可能となります。また、②設立時のコストが異なります。それぞれの費用は以下の表の通りとなります。

株式会社 合同会社
登録免許税 150,000円 60,000円
収入印紙代 40,000円 40,000円
公証人手数料 50,000円 0円
定款の謄本手数料 2,000円 2,000円
合計 242,000円 102,000円

上表の通り、合同会社の方が設立時のコストが14万円も安く抑えることができます

また、③ランニングコストの面でも異なります。
株式会社は決算公告義務があるため、毎年決算公告費用として6万円が必要となりますが、合同会社は決算公告義務がないため、当該費用はかかりません。6万円しか差がないですが、毎年かかる費用であるため、6万円かける年数分の費用の差が出ます。ここでも合同会社の方がコストを抑えることができます。

株式会社と合同会社では④信頼度が異なります。
冒頭でも書きましたが、株式会社の方が知名度も高く、信頼度も高いです。その結果、人の採用面や資金調達面に差が出てきます。株式会社の方が、信頼度が高いので有利になります

その他、⑤資金調達面も異なります。
株式会社は株式での資金調達が可能であるため、大規模な調達が可能となります。これは、株式会社の特徴の一つで出資と経営が分離されており、客観的な経営が行われている結果、資金調達がやりやすいのです。一方、合同会社は出資と経営が一致しており、客観的に経営できているとは言えず、信頼力も株式会社よりも劣るため、資金調達がやりにくくなります。

⑥事業承継面でも異なる点があります。
合同会社の持分は相続の対象となるものの、社員の地位は相続の対象となりません。株式会社の場合は、株式が相続対象となるため、相続人に相続され問題は生じません。ただし、合同会社でも定款に定めることで、持分も社員の地位も相続の対象とすることができます。

以上、株式会社と合同会社には違いがあります。これらの違いにより、どんな人が株式会社に向いているのか、あるいは、合同会社に向いているのか、ということが変わってくるのです。

4.それぞれどんな人にとってメリットがあるのか

では、どのような人が合同会社を用いるのがいいのでしょうか。ここまでみてきた、設立費用やランニングコストを抑えたい、また、決算公告をする必要のない、あるいは、決算公告など業務を増やしたくない会社にとっては合同会社を用いるメリットがあります。個人の能力で事業を展開している会社、年商1,000万円未満の会社、ベンチャーの小規模な会社にとっては合同会社を用いることで設立費用、ランニングコストは抑えられますし、業務自体も最小限にできるので向いています。

一方で、信頼性が求められるケースや、規模を急速に拡大させたいケースだと合同会社よりも株式会社の方が適しています。それぞれにメリット、デメリットがあるのでそれぞれ考慮しながら、合同会社で設立するのか、株式会社で設立するのかを考えていきましょう。

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