見落としがちな個人事業税とは?所得と法定業種に注意しよう
記事作成日 2020/09/09 記事更新日 2023/02/05
個人事業主は所得税や消費税など、様々な税金を納める必要があり、個人事業税もそのうちの一つです。特に個人事業税は馴染みがなく、かつ全ての個人事業主が納めなければならない税金ではないため忘れがちです。
今回はその個人事業税について解説します。
Contents
個人事業税について
個人事業税とは
個人事業税とは地方税の一種で、事業を行っていることに対して支払う税金です。こちらは都道府県に対して支払うものになり、所得税の確定申告を行えば、後日都道府県から個人事業税の納税通知書が送付されてきます。
納税時期は8月と11月の二回に分かれており、それぞれ1/2ずつを納税する必要があるので忘れないようにしましょう。
個人事業税を支払う必要がある場合とは
個人事業税は全ての個人事業主が支払う税金ではありません。個人事業税が課せられるのは以下の3つの要件に当てはまる個人事業主です。
①個人事業主であること
当たり前ですが、個人事業税は個人事業主に対してかかる税金です。事業を法人化している場合には、個人事業税ではなく法人税が課せられます。
②所得が290万円以上であること
個人事業税は(収入-経費-専従者給与等-各種控除)×税率という計算式で算出されます。専従者給与とは、家族を従業員として雇っている際の給与のことで、青色申告者の場合が全額を、白色申告者の場合でも一定額を控除可能です。
また青色申告者で過去3年の間で赤字繰越がある場合などもその分を当年の黒字と相殺することが可能です。さらに、個人事業税では290万円が事業主控除として控除されます。事業主控除が290万円と大きいため、まずは収入から経費を除いた所得が290万円を超えるかどうかが個人事業税を気にし始めるべきラインとなります。
③法定業種に該当する事業を行っていること
個人事業税が課せられるのは定められた一定の業種のみです。この業種に当てはまらない事業を営んでいる場合、個人事業税はかかりません。詳しくは後述しますが、ライターや漫画家、SEやミュージシャン、アスリートなどは法定業種に該当しない業種となります。
法定業種とは
法定業種は全部で70種類あり、さらに3つに区分されそれぞれ税率が異なっています。また、法定業種の認定は、開業届に書いた業種ではなく、実務の内容によって判断されます。なお、都道府県によって事業内容の判断基準が異なる場合もあるため、自分の事業がどの区分に当てはまるか不安な場合は、事前に都道府県に問合せをするのが良いでしょう。
第1種事業
第1種事業には物品販売や不動産業、飲食業など幅広い業種が該当します。税率は一律5%で、全部で37業種が定められています。
商品取引業、金銭貸付業、倉庫業、周旋業、不動産売買業、物品貸付業、駐車場業、
代理業、広告業、不動産貸付業、請負業、仲立業、興信所業、製造業、印刷業、
問屋業、案内業、電気供給業、出版業、両替業、冠婚葬祭業、土石採取業、写真業、
公衆浴場業(むし風呂等)、電気通信事業、席貸業、演劇興行業、運送業、旅館業、遊技場業
第2種事業
こちらは以下3つの業種しか当てはまる業種はありません。税率は一律4%で計算されます。
第3種事業
第3種事業は士業など資格や専門知識を必要とする業種が当てはまります。税率は5%の業種と3%の業種があるため注意しましょう。
■税率5%の業種
税理士業、公認会計士業、計理士業、社会保険労務士業、コンサルタント業、設計監督者業、
不動産鑑定業、デザイン業、諸芸師匠業、理容業、美容業、クリーニング業、公衆浴場業(銭湯)等、
歯科衛生士業、歯科技工士業、測量士業、土地家屋調査士業、海里代理士業、印刷製版業
■税率3%の業種
まとめ
ここまで個人事業税についてまとめてきました。法定業種が多岐にわたるため、個人事業主で所得が290万円以上ある方は個人事業税を支払う義務がある場合がほとんどです。また法定業種に当てはまらないライターやSE、システムエンジニアの方でも、事業内容によっては請負業と判断され課税される可能性があるため、所得が290万円を超えた場合は一度都道府県に確認をするのが良いでしょう。
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