【従業員の満足度を高めつつ節税】決算賞与の注意点とポイントを開設

【従業員の満足度を高めつつ節税】決算賞与の注意点とポイントを開設

記事作成日 2020/07/17    記事更新日 2023/02/05

決算賞与とは

決算賞与の定義

決算賞与とは、年に1度の決算の前後に従業員へ支払う賞与のことです。会社の業績に応じて支給の有無の金額の多寡を決めることができます。

夏冬ボーナスとの違い

一般にボーナスと呼ばれる夏や冬に支給される賞与は、就業規則などにその支給頻度や金額の計算方法が定められ、よほど経営状態が悪化しない限りは支給がなされます。対して決算賞与にはこうした定めはなく、支給の有無や金額は経営者の決定に委ねられています

決算賞与の目的

決算間近でも法人税の節税ができる

想定していたよりも利益が大きくなったことが決算間近に判明した場合、通常はそのまま決算を迎え、法人税もその分多く支払うことになってしまいます。しかし一定の要件を満たせば、支給前であっても決算賞与を当期の損金に算入できるため、決算間近でも法人税の節税対策を行うことができます。

決算賞与を未払のまま当期の損金に算入する要件と注意点は以下です。

要件①:決算日までに、支給金額を全ての従業員に対して個別かつ同時期に通知すること
全ての従業員に対してという点がポイントです。
例えば「賞与支給日に在籍している者」など対象者を規定すると、
全額当期の損金に算入できなくなります

要件②:①で通知した金額を通知した全ての従業員に、決算日の翌日から1ヶ月以内に支払うこと
①で通知した従業員のうち、退職などで連絡がつかなくなり、
1人でも決算賞与を受け取れなかった場合は、当期の損金計上は認められません
また、通知した金額と異なる金額を受け取った従業員が1人でもいた場合も同様です。

要件③:①で通知した金額を通知した当期中に損金処理すること
当期の事業年度内に適切な決算賞与未払の経理処理をする必要があります。

従業員の就業意欲が上がる

賞与の支給ということで、従業員のモチベーション向上を期待できます。

決算賞与は「従業員が頑張った結果会社の業績が向上したため、その利益を従業員へ臨時ボーナスとして還元する」という立付となるため、当期の働きへの慰労と来期の就業意欲向上のインセンティブとして働きかけることができるでしょう。

決算賞与による節税の注意点

手元資金が減る

決算賞与を支給する=キャッシュが減るということなので、当然ながら手元資金は減少します。例えば法人税30%の企業が、決算直前に利益2,000万円(法人税600万円)が出ることに気づき、急遽決算賞与500万円の支給を決定し、節税を図った場合を考えてみます。

この場合、利益は2,000万円⇒1,500万円に圧縮、法人税も600万円⇒450万円となり150万円の節税となります。しかし決算賞与500万円分の支払いが増えるため、最終的なキャッシュアウトは決算賞与を出した場合のほうが350万円多くなります

法人税を国に支払うのか、決算賞与を従業員へ支払うのか、自社のキャッシュフロー状況も考慮に入れながら、決算賞与の支給の有無と金額を決定する必要があります

従業員が「必ずもらえる賞与」と誤認する可能性がある

従業員が一般的な夏冬のボーナスと決算賞与を混同したり、決算賞与を毎年必ずもらえる賞与と誤認したりした場合、決算賞与が支払われなかった年はモチベーションが低下してしまう恐れがあります。決算賞与の意義や支払い条件などを従業員へ周知徹底するなどの対策が必要です。

税務調査での確認が厳しい

未払の決算賞与の当期損金算入は、節税対策としてよく取られる手法の反面、要件に抜け漏れが発生しやすく、それだけ税務調査が厳しく入る事項となっています。決算賞与による節税を考える際は、要件をよく確認し適切に処理を行う、税務調査が入った際の証拠提示ができるよう書面で通知を行ったり、支払いを口座振込にしたりと証跡を残しておくことが重要です。

まとめ

決算賞与による支給は、決算直前でもできる便利な節税対策です。しかし未払の決算賞与を当期決算に算入する場合の要件が少々複雑な点や、キャッシュフロー状況によってはそのまま法人税を納めたほうがよい場合もあるため注意が必要です。

税務調査でも特に確認される事項ですので、メリットとデメリットを抑えた上で決算賞与の要否を検討しましょう。

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