【医療費や医薬品代で節税】医療費控除とセルフメディケーション税制について詳細解説
記事作成日 2020/08/10 記事更新日 2023/02/05
節税で利用できる控除には様々なものがありますが、中でも忘れずに利用して欲しいものが「医療費控除」です。医療費控除の存在を知らずに、そのまま税金を納めている人もいるかもしれません。医療費控除を利用すれば、効果的に節税ができます。
本記事では、医療費控除の概要と医療費控除に関連した「セルフメディケーション税制」について、詳細を解説していきます。
Contents
医療費控除とは?
医療費控除とは、1年間に支払った医療費額が一定額を超えた際に、その支払い金額をもとにして所得控除を受けられる制度です。支払った医療費額は、自分以外にも自分と生計を共にする人(配偶者や親、子供など)のために支払った医療費も含めます。
医療費控除の金額は、下記の計算式で求めます。
医療費控除=支払った医療費の合計金額-保険金などで補填された金額-10万円
*保険金などで補填された金額は、生命保険の入院費給付金や健康保険の高額療養費、俗療養費などが該当します。
*計算式で引かれる10万円について、こちらは総所得金額等が200万円以上の人に適用されます。総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%を10万円の代わりに引きます。
医療費控除の金額は最高で「200万円」です。200万円を超える部分に関しては控除が適用されないので注意してください。医療費控除の対象となる医療費は下記のものが挙げられます。
- 医師または歯科医師による診療費、治療費
- 治療、療養に必要な医薬品の購入費
- 病院など医療施設への入院費
- あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術費
- 介護保険制度で提供された施設、住宅サービスの自己負担額 など
治療費、診療費以外にも、入院費や医薬品の購入費も医療控除の対象となります。
医療費控除の申請方法
医療費控除を受ける場合は、確定申告をする必要があります。勤め先の年末調整では医療費控除が適用されないので、忘れずに申告しましょう。確定申告では「医療費控除の明細書」を作成して、確定申告書に添付して提出します。平成28年度以前は、確定申告書に医療費の領収書を添付する必要がありましたが、確定申告の際の書類準備を簡略化するために、平成29年度以降は領収書の添付が不要となっています。
ただし、提出をする必要がないからといって、領収書を捨てて良い訳ではありません。税務署側が医療費控除の記載内容を確認するために、医療費の領収書の提示・提出を求めてくることがあります。
領収書の保管期限は、確定申告期限から5年を経過する日までとなるので、その間は領収書を捨てずに保管しておきましょう。提出・提示を求められたときに、領収書を提出できないと追加で税金を納めることになるので要注意です。
セルフメディケーション税制とは?
セルフメディケーション税制とは、医療費控除の特例として認められている制度で、特定の医薬品を購入することで所得控除を受けられるものです。別名「特定の医薬品購入額の所得控除制度」と呼びます。
セルフメディケーション税制は、平成29年1月1日から令和3年12月31日までの間に購入した医薬品が対象となります。支払った購入額が1万2千円を超えるときに、その超える部分を総所得金額から控除することができます。医薬品購入金額が8万8千円を超える場合は、金額の大きさに関わらず8万8千円が総所得から控除されます。
セルフメディケーションが適用される医薬品は、ドラックストアなどで売られている市販薬です。対象の医薬品の一部には「セルフメディケーションマーク」が掲載されているものもあります。
セルフメディケーション税制を利用する際の注意点
セルフメディケーション税制を利用する際は、下記の点に注意してください。
- 購入時のレシートを保存する
- 医療費控除とは併用できない
購入時のレシートを保存する
セルフメディケーション税制を利用する場合は、対象医薬品を購入したことを証明する「レシート(領収書)」が必要となります。レシートがないと、購入を証明できないので、セルフメディケーション税制を利用できません。
レシートを紛失してしまった場合は、購入したドラッグストアに問い合わせて、再発行できるか確認をとってみましょう。ドラッグストアによっては、再発行を受け付けてくれます。
医療費控除とは併用できない
セルフメディケーション税制は、その他の医療費控除と併用することはできません。医療費控除とセルフメディケーション税制を同時に認めてしまうと、「自分で薬を使って治療する」ことと「病院で薬をもらって使うこと」の線引きが難しくなってしまいます。
病院に行かずに、自身で薬を買って治療を行う人の控除を増やすのがセルフメディケーション税制です。医療費控除を利用したい場合は、セルフメディケーション税制と比べてどちらか一方を選ばなくてはいけません。
治療や医薬品購入が節税につながる
病気やケガで治療を受けることは、マイナス面が強調されがちですが、医療控除やセルフメディケーション税制を利用すれば節税対策につながります。医療控除に関しては、10万円以上の高額な治療であれば大部分を控除に回すことが可能です。医療控除、セルフメディケーション税制ともに、申告・申請をしなければ利用できません。利用する際は忘れずに手続きを行うようにしましょう。
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