寄付金を使って節税するときの注意点【寄付には3種類あります】

寄付金を使って節税するときの注意点【寄付には3種類あります】

記事作成日 2020/10/06    記事更新日 2023/02/05

事業者のなかには「寄付金で節税!」といった言葉を一度は耳にした人も多いのではないでしょうか。寄付金は大きく3つに分けることができます。

  1. 国や地方公共団体等に対する寄付金
  2. 特定公益増進法人等に対する寄付金
  3. それ以外の一般の寄附金

一言で「寄付金」といっても寄付金にもさまざまな種類があります。寄付する側が個人事業主なのか法人なのか、寄付を受け取る側がどういった団体なのかにもよって、控除額や計算方法、ルールが異なります。

そこで本記事では、「寄付金でどれくらい節税できるのか」「どのような寄付金があるのか」「ふるさと納税」についてご紹介いたします

寄付金が基本的に節税に向かない理由(損金算入額が低い:細かい計算式は不要です)

寄付金=全額損金と認識されている人も多いのではないでしょうか。

確かに、①国や地方公共団体等に対する寄附金または財務大臣指定の寄附金に関しては、全額損金に算入できます。
※震災などの義援金など

一方、限度額が定められている寄付金も存在します。

≪②特定公益増進法人等≫
〔資本金等の額×12分の当期の月数×1000分の3.75+所得の金額×100分の6.25〕×2分の1

≪③一般の寄附金≫
〔資本金等の額×12分の当期の月数×1000分の2.5+所得の金額×100分の2.5〕×4分の1
=〔損金算入限度額〕

参考URL:国税庁HP

限度額が定められている理由は、会社(法人)が営利を追求する組織であることが大前提だからです。本来、損金(経費)とは事業を運営するために必要な費用であり、見返りを求めない寄付金は経費性が薄いとされています。つまり、①のように寄付金として全額損金算入できるもの以外は、寄付金の性格も含め、基本的に節税に向かないといえます。

寄付金の種類(指定・特定公益増進法人・その他)

冒頭でも申し上げたとおり、一言で「寄付金」といっても寄付金にもさまざまな種類があり、寄付する側が個人事業主なのか法人なのか、寄付を受け取る側がどういった団体なのかにもよって、控除額や計算方法、ルールが異なります。個人が寄付金を支出した場合から見ていきましょう。

個人の場合

個人が寄付金を支出した場合、寄付金控除(所得控除)寄付金特別控除(税額控除)の大きく2つに分けることができます。

  • 所得控除・・・所得税額を計算する前の所得から差し引ける控除
  • 税額控除・・・所得税額を計算した後の所得税から直接差し引ける控除

寄付金控除(所得控除)

寄附金控除は次の算式で計算します。
「本年中に支出した特定寄附金の額の合計額-2,000円=寄附金控除額」

寄付金特別控除(税額控除)

・政党等寄附金特別控除
計算式
「(本年中に支出した政党等に対する寄附金の額の合計額-2,000円)×30%
=(政党等寄附金特別控除額)」

・認定NPO法人等寄附金特別控除
計算式
「(本年中に支出した認定NPO法人等に対する寄附金の額の合計額-2,000円)×40%
=(認定NPO法人等寄附金特別控除額)」

・公益社団法人等寄附金特別控除
計算式
「(本年中に支出した公益社団法人等に対する寄附金(一定の要件を満たすもの)の額の合計額-2,000円)×40%
=(公益社団法人等寄附金特別控除額)」

寄付金特別控除は原則、所得金額の40%相当額が限度額とされています。

「特定寄付金」

  • 国又は地方公共団体に対する寄附金
  • 指定寄附金
  • 特定公益増進法人に対する寄附金
  • 特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
  • 認定NPO法人等に対する寄附金
  • 政治活動に関する寄附金
  • 特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額など

法人の場合

前述でもご紹介したように法人が寄付金を支出する場合は、国や地方公共団体への寄付金は全額損金です。一方、「一般の寄附金」や「特定公益増進法人等」などの寄付金はそれぞれに限度額が設定されています。例えば、「特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭」や「認定NPO法人等に対する寄附金」は「特定公益増進法人に対する寄附金」の寄付金に含めて計算します。

「特定公益増進法人に対する寄附金」は、下記のいずれか少ない金額が損金算入されます。

  • 特定公益増進法人に対する寄附金の合計額
  • 特別損金算入限度額
    〔資本金等の額 ×12分の当期の月数×1000分の3.75+ 所得の金額 ×100分の6.25〕×2分の1

ふるさと納税とは?

ふるさと納税とは、故郷や応援したい自治体に寄付をすることで、寄付金のうち2,000円を超える部分について所得税及び住民税の控除が受けられる制度です。「ふるさとチョイス」や「ふるなび」などのサイトから自由に寄付金の使い道を指定でき、さらに税制面での優遇が受けられるとても魅力的な仕組みです。

個人事業主の人は、確定申告することにより2,000円を超える部分を所得税と住民税から一定額控除することができます。

一方、年末調整により確定申告を免除されている会社員などの給与を得ている給与所得者は、ワンストップ特例制度を利用することで、2,000円を超える部分を住民税から控除することができます。
※ワンストップ特例制度・・・年間寄付先が5自治体の人でふるさと納税をする都度、ワンストップ特例申請書の提出が必要

各「ふるさと納税サイト」にて、自分がふるさと納税を利用することでどれくらいの控除が受けられるかをシミュレーションできます。本年中にふるさと納税の利用を考えている人は、必ず税額シミュレーションを行い、限度額を算定してから寄付をご検討ください。

まとめ

寄付金は種類が豊富なうえに計算方法も複雑です。これから寄付金を利用した節税を考えている人は自身の判断だけでなく、専門家に相談してから寄付金の支出を検討してください。当社は税理士法人を運営しております。寄付金の相談も丁寧にお答えできますので、是非お気軽にご相談ください。

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