個人事業主は注意!これは経費になりません
記事作成日 2020/10/23 記事更新日 2023/02/05
個人事業主の事業所得は「事業売上-必要経費=所得」という計算式により算出されます。節税するためには「必要経費」が重要であることはいうまでもありません。個人事業主のみなさんに気を付けていただきたいのが「必要経費」の範囲です。事業主のなかには、なんでもかんでも経費にしてしまい、税務調査で否認されるケースも多々あります。
もちろん、修正申告しておしまいということではなく、ペナルティとして延滞税・加算税が加算され、本来納める税額より高くなります。悪気はなくても結果は同じです。※悪質である場合は重加算税も課されます。本記事では下記について順次ご紹介しております。
- そもそも必要経費とは?
- 所得税や住民税などの税金は基本経費にならない
- 事業や不動産の借入金元本は経費にならない
- 従業員がいない福利厚生費は否認される
- 経費として認められるための保管書類
本記事で「必要経費」について深く理解し、正しく節税しましょう。
Contents
そもそも必要経費とは?
国税庁が定める必要経費に該当する要件は以下の2つの項目です。
- 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
- その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
引用:国税HP「https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm」
(1)を簡単にいうと、収入を得るために支出する費用=必要経費です。
飲食店であれば、食材や調味料が必要経費に該当し、自動車販売業であれば、販売するための自動車や自動車部品代が必要経費になります。
(2)は給与・地代家賃・通信費・交通費・車両費などの商品を販売・運用するために支出する費用をいいます。
特に経費と間違いやすい費用は以下の通りです。
所得税や住民税などの税金は基本経費にならない
個人事業主の所得に応じて発生する所得税や住民税などの税金は、一部を除いて必要経費として認められません。必要経費として認められる税金と認められない税金は下記の通りです。
≪必要経費として認められる税金≫
- 個人事業税
- 事業用の自動車税
- 事業不動産の固定資産税
※自宅兼事務所の場合は事業費率に応じて費用按分 - 事業不動産の取得税
- 印紙税
- 消費税
≪必要経費として認められない税金≫
- 所得税
- 住民税
- 贈与税
- 相続税
冒頭でも申し上げたペナルティーとして課せられた加算税・延滞税・重加算税・無申告加算税・不納付加算税等は必要経費として認められません。
不動産購入や事業運営用の借入金元本は経費にならない
事業の開始・運営に欠かせない「借入金」は必要経費に該当しません。ただし、借入金に付随する借入利息や事務手数料、保証金は必要経費として認められます。保証金に関しては、借入時に一括で支払いますが、その年で全額経費にしていいということではありません。
例えば、銀行から100万円の融資を受け、保証金が5万円、返済期間を5年と設定した場合に今期の経費として認められる保証金は1万円です。
※期中で1年を超える保証金が発生した場合はさらに月数按分が必要。
保証金の処理は借入元本と同様にとても間違いやすい部分ですのでお気を付けください。
従業員がいない福利厚生費は否認される
そもそも福利厚生費は、正社員・アルバイト・パートなどの従業員がいてはじめて発生する費用。つまり、従業員のために支出した費用をいいます。自身の健康診断や社内飲食についても必要経費として認められません。
福利厚生費ついては別記事にて詳しくご紹介しておりますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
経費として認められるための保管書類
税務調査が入った時に個人事業主の経費を認めてもらう書類としてレシートや領収書、クレジットカード明細などの必要経費の証拠書類が必要です。個人事業主で青色申告事業者であれば、帳簿・決算書類等が最高7年間。請求書や領収書等の書類は5年間の保管が義務化されています。白色申告者は、収入金額や必要経費を記載した帳簿は最高7年間。その他の書類は5年間の保管義務が生じます。
消費税課税事業者(消費税を支払う義務を生じている者)である場合は、高額消耗品(3万円以上)等を購入した際は請求書を販売業者に発行してもらってください。より詳しく知りたい人は、以下をチェックしてみてください。
国税庁HP「仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」
まとめ
個人事業主の必要経費について理解を深められたでしょうか。
本記事を簡単におさらいしておきましょう。
- 必要経費は事業売上を上げるために支出した費用が原則
- 必要経費になる税金とならない税金がある
- 借入元本は経費にならないが借入利息は経費になる
- 福利厚生費は従業員のために支出する費用
- 必要経費書類は保管義務がある
以上のように経費になるものとならないものをしっかり区別して、正しい会計処理を行ってください。
当社は本記事でご紹介した間違いやすい経費などのご相談にも丁寧に対応いたします。経費について専門家の意見が聞きたい人はお気軽にご相談ください
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