会社設立後にすぐ出来る!創立費・開業費を使った節税
記事作成日 2020/09/02 記事更新日 2023/02/05
会社を設立する際に、必ずかかってくる費用が「開業費」と「創立費」です。これらの費用は、会社の経費として計上することが可能になります。実は、開業費と創立費は、どのタイミングでも経費計上可能な勘定科目となっています。
今回は、この開業費と創立費について、情報をまとめていきます。
Contents
1. 開業費とは?
開業費とは、会社設立から営業開始までにかかった「開業準備費用」のことを指します。税法上の開業費の要件は、下記の通りです。
①開業準備のための費用である
開業費は、開業準備に際して直接かかった費用でなければいけません。
開業に直接の関係がない費用は、開業費として計上することはできません。
②会社設立後から営業開始までの間の費用である
開業費は、会社設立後から営業開始までにかかった費用になります。
会社設立前にかかった費用は、開業費にはならないので注意してください。
開業費として計上できる費用として、下記の費用が挙げられます。
- 広告宣伝費
- 保険料
- 消耗品費
- 支払利子 など
人件費や水道光熱費など、月々固定でかかってくる費用は、開業準備に直接かかった費用として認められていません。開業中に支払ったとしても、あくまでも間接的な費用として扱われます。
2. 創立費とは?
創立費とは、会社設立にかかった費用のことを指します。税法上の創立費の要件は、下記の通りです。
①会社設立前にかかった費用である
創立費は、会社設立にかかった費用であるため、会社設立前に生じた費用でないといけません。
会社設立後から営業開始までにかかった費用は、すべて開業費の扱いとなります。
②定款への記載が原則必要
創立費を計上するためには、原則として会社設立時に定款へ記載することが必要になります。
例外として、設立登記でかかる登録免許税、定款認証の諸費用は定款への記載が必要ありません。
創立費として計上できる費用として、下記のものが挙げられます。
- 金融機関への取扱手数料
- 事務所などの賃貸料
- 広告宣伝費
- 会社の設立登記にかかる登録免許税
- 定款の製作費用 など
税法上、上記の費用が会社定款へ記載されていなくても、創立費として計上することが許可されています。
仮に、会社定款への創立費記載が漏れてしまっても、創立費を計上可能です。
3. 個人事業主は開業費の範囲が異なる
フリーランスや自営業など、個人事業主の場合は、定款作成などの創立手続き自体を行わないため、創立費は発生しません。
その代わりに、開業費の範囲が広く設定されています。個人事業主が開業費として計上できるものとして、下記のものが挙げられます。
- 電話、インターネットなどの通信費
- 水道光熱費
- 保険費用
- 建物などの賃借料 など
法人の場合は、水道光熱費などは開業費として計上することはできませんが、個人事業主の場合は特別に許可されています。
4. 開業費と創立費はいつでも経費計上できる
開業費・創立費は「繰延資産」でして計上することができます。
繰延資産とは、翌期以降に繰り延べることが可能な資産で、好きなタイミングで経費計上できることが認められています。
開業・創業の際に生じた費用を一旦資産として計上して、その後、売上が安定した時期になったら経費計上して、節税にあてることができます。
開業したばかりの段階だと、中々売上が伸びない時期も出てくるので、開業費や創立費を初期の段階で無理に経費計上する必要はありません。資産として決算書に記載できるので、決算書の見栄えも良くなります。
5. 開業費・創立費にできない費用
設立前や事業開始までに生じた費用でも、開業費・創立費にできないものがあります。
下記、開業費・創立費にできない費用です。
- 1つあたりの購入価格が10万円以上の備品、機械等
- 商品の代金
- 将来的に返還される費用
5-1. 1つあたりの購入価格が10万円以上の備品、機械等
1つあたりの価格が10万円以上の備品、機械などは「固定資産」として扱います。
固定資産に関しては、法定耐用年数に応じて減価償却が行われるため、開業費・創立費として計上することはできません。
中小企業の場合は、10万円~20万円の取得価額である固定資産は、「一括償却資産」として計上することが可能で、3年間の減価償却で取得価格をすべて損金にすることが可能になっています。
5-2. 商品の代金
販売用の商品に関しては、開業のための費用としては認められません。
開業前に仕入れた商品であっても同様です。開業前に仕入れた商品に関しては、会社設立費に「仕入高」で計上することになります。
5-3. 将来的に返還される費用
敷金は保証金など、諸浦的に返還される費用に関しては、費用としてカウントされることはありません。
会計上は「差入保証金」などの勘定科目で処理を行います。
6. まとめ
開業費・創立費は、いつでも経費計上可能な、非常に使い勝手のよい費用です。
すぐに経費計上する必要もなく、経営が厳しい開業当初には繰延資産として決算書に掲載することもできます。
開業費・創立費を上手く利用して、節税対策を進めていきましょう。
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