年末調整の基本と注意点

年末調整の基本と注意点

記事作成日 2021/06/03    記事更新日 2023/02/05

「年末調整」という単語は、社会人であれば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
会社で指示されている通りに書類を提出してはいるものの、詳しい内容を理解していない方も多いと思います。

今回はそんな年末調整について解説していきます。年末調整とは、その年の所得税額を確定し正確な納税を行うための作業です。以下ではその仕組みについて詳しく説明します。

年末調整とは

会社に所属して働いている人の場合、所得税が給与から源泉徴収という形で差し引かれて支給されています。この時に差し引かれている所得税の金額は概算のため、1年間の所得税を正確に算出し納付額を決定する手続きが年末調整です。

年末調整でその年の所得税を算出した結果、既に支払っている所得税合計と比べて差分があれば税金が還付、或いは追加徴収されます。

似たような作業に「確定申告」がありますが、こちらは個人が行うのに対し、年末調整は会社や団体が代わりに手続きを行ってくれるという点、また年末調整では調整できる内容に限りがあるという点が異なっています。

年末調整の仕組み

ではどうやって正確な所得税を算出するのでしょうか。所得税は、1年間の給与収入総額から各種控除を差し引いた所得金額に所得税率を乗じて計算されます。

年末調整によって、1年間の給与収入を確定し、各種控除額を計算することでその年の所得税が算出されます。

給与収入総額から控除することができる項目は15種類あり、そのうち①医療費控除②ふるさと納税などの寄付金控除③雑損控除の3つは確定申告で、それ以外は全て年末調整で控除することができます。

年末調整の対象

年末調整は対象となる人が限られています。年末調整の対象にならない場合は個人で確定申告を行う必要があるため注意しましょう。

対象となる人

会社に勤めている従業員は基本的に全員年末調整の対象となります。正確には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を会社へ提出している人が年末調整の対象となる人です。

また副業等で2箇所以上から給与等の支給を受けている場合は、主たる給与等の支払いを受けている1箇所へこの申告書を提出し、そこで年末調整を受けることになります。

対象とならない人

以下の人は年末調整の対象となりません。自分で確定申告を行う必要があります。

①その年の主たる給与収入が2,000万円を超える人
②非居住者
③日雇い労働者など、継続して同一の雇用主に雇用されない人
④年末調整の実施までに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人
⑤災害などにより、源泉所得税の徴収猶予や還付を受けた人

年末調整の時期

年末調整は、基本的には12月末に行われます。しかし、以下の人は例外的に年末以外に年末調整を行います。

退職時に年末調整を行う人

以下の人は退職時に年末調整を行う必要があります。

①死亡により退職した人
②心身障害により退職した人のうち、その年に再就職が見込めない人
③12月の給与の支払いを受けたあとに退職した人
④パート従業員などで、その年の給与が103万円以下の人

非居住者になった時に年末調整を行う人

年の途中で、海外への転勤などにより非居住者となった場合も年末を待たず年末調整を行います。

年末調整の注意点

年の途中で退職し再就職をしない場合は確定申告が必要

年の途中で退職しその年中に再就職をしない場合は、年末調整を行ってくれる会社がありません。そのため年末調整の代わりに自分で確定申告をする必要があります。

再就職をしなかった場合は、在職中に支払った所得税よりも実際に納めるべき所得税の方が少なく、還付を受けられる可能性が高いため、忘れずに確定申告をしましょう。

還付ではなく追加徴収になる可能性も

年末調整を行った場合は税金が還付されるばかりではありません。特に以下のような事例ではそれまでに納めた所得税が足りず、追加徴収が必要になる場合もあるため、急な出費に備えておく必要があるでしょう。

①ボーナスの支給額が多かったなど、想定を超える給与収入があった
②扶養家族が減り、収入から控除される額が減った

まとめ

給与所得者は所得税の納税手続きのほとんどを年末調整のみで済ますことができ、さらに所定の書類を提出すれば手続きは会社が行ってくれるなど、年末調整はメリットが大きい手続きです。

控除される項目が多いほど用意する書類も多く面倒に感じるかもしれませんが、正確に納税を行うためにも、会社から年末調整のお知らせが来たら忘れずに対応するようにしましょう。

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