副業の所得税について解説!ワザと赤字を出すのはOK?
記事作成日 2020/10/23 記事更新日 2023/02/05
「副業」の確定申告方法は、副業の種類によってさまざまです。そのなかでも、ほとんどの副業が「事業所得」と「雑所得」に該当し、適用条件や計算方法、税務署への提出書類まで違ってきます。
結論からいうと、「副業は雑所得より事業所得のほうが税制面で有利」になります。本記事では以下の5つの項目について詳しく解説しています。
- 副業を事業所得にするには?
- 事業主が雑所得より事業所得を選択する理由
- 事業所得と雑所得の線引きは?
- 事業所得の「メリット」「デメリット」
- 雑所得の「メリット」「デメリット」
これから副業をはじめる方やすでに副業をはじめている方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
副業を事業所得にするには?
これからはじめる副業が事業所得として認められるかは、行っている副業が営利目的であり、今後継続して事業が行われるか。加えて、事業者の生活の糧になるものかなどが争点となります。つまり、一般的に職業といえるぐらいの収入・継続性・人員・時間が確保できるかで判断されるということです。
実際は、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出し、個人事業と認められた場合に事業所得として申告ができるようになります。また、「個人事業の開業・廃業等届出書」の申請書を提出する際に以下の申請書類も一緒に提出することをおすすめします。
- 「所得税の青色申告承認申請書」
一定の要件を満たすことで、10万円または65万円の青色申告特別控除などの税制面でのさまざまな優遇が受けられます。
※事業開始から2か月以内または青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までに提出。 - 「給与等支払事務所等の開設届出書」
今後従業員を雇うこと場合に必要な書類です。
※給与支払事務所の開設から1か月以内に提出。 - 「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」
原則、源泉所得税は徴収した月の翌月10日に支払わなければなりませんが、こちらの申請書を提出すると年2回(7月・翌1月)にまとめて納付できます。
※給与の支給人員が常時10人未満であることが条件。
事業主が雑所得より事業所得を選択する3つの理由
雑所得ではなく事業所得を選択する3つの理由以下のとおりです。
1.青色申告特別控除の申請が可能になる
青色申告できる人は、不動産所得・山林所得・事業所得の人だけです。「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出することで、青色申告が可能となり以下の税制面での優遇が受けられます。
- 青色申告特別控除
10万円または65万円の青色申告特別控除。 - 青色事業専従者給与
15歳以上かつその青色申告者の事業に専ら従事している人に支払う給与が全額経費。 - 純損失の繰越しと繰戻し
3年間にわたって損失額を繰越できる。
2.損益通算が可能
損益通算とは、本年度の赤字と黒字を相殺できる制度です。損益通算できる所得は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得のみ。よく給与所得と損益通算できると勘違いをされている人も多いですが、給与所得は所得の性質上損益通算になじまない所得とされています。
3.30万円未満の少額減価償却資産の特例
30万円未満の少額減価償却資産の特例も青色申告者に適用される特例です。この特例は取得した30万円未満の資産を一括経費にできるといった制度です。
※合計300万円が上限。
事業所得と雑所得の線引きは?
そもそも雑所得とは、利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時の9つの所得いずれにも該当しない所得のことです。
雑所得の計算方法「公的年金以外の収入金額-必要経費=雑所得」
※年金の場合「年金収入-公的年金控除」
公的年金や著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税が雑所得に該当します。せどりや転売、ネット副業の事業所得に該当しないものも雑所得です。雑所得には「所得税の20万円以下の申告不要ルール」があり、会社員で1カ所からの給与所得(確定申告要件に該当しない範囲)と雑所得20万円以下であれば申告が不要とされています。
つまり、副業で20万円を超える場合は、上記でご紹介した開業届等の申請により事業所得で申告したほうが結果的に節税できるケースが多いです。
(注)雑所得が20万円以下であっても住民税の申告は必要。
ここまでくると「個人事業を始めたことにして、家賃や飲食代を経費に入れて大赤字にすれば、結構な税金が返ってくるんじゃないか?」と考える人もいるかと思います。実際、そのように、還付を受けるのが流行ったことがありました。ですが4年ほど前に事業実体がないとして否認されたうえ、その方法を指南したコンサルタントが脱税幇助で逮捕されるということが起きました。
サラリーマンや経営者の副業には税務署もかなり目を光らせていますので、税金を戻すためと安易に始めるのではなく、きちんと事業を行っているという実体を整えて確定申告を行う必要があります。
事業所得の「メリット」「デメリット」
≪事業所得のメリット≫
- 青色申告によるさまざまな税制面での優遇
- 損益通算が可能
≪事業所得のデメリット≫
- 個人事業税が発生する可能性がある
個人事業税の額は、以下のように計算されます。
「個人事業税=(所得金額-290万円)×税率」
290万円以下の事業者は事業税が発生しません。 - 確定申告が必ず必要
雑所得の「メリット」「デメリット」
≪雑所得のメリット≫
- 確定申告が不要になる場合がある
- 事業税の心配がない
≪雑所得のデメリット≫
- 青色申告が受けらえない
- 赤字が繰り越せない
まとめ
事業所得と雑所得について理解を深められたでしょうか。
本記事を簡単におさらいしておきましょう。
- 雑所得より事業所得のほうが税制面での優遇が受けやすい
- 事業所得は10万円または65万円の青色申告特別控除が受けられる
- 事業所得は損益通算可能
- 一定条件を満たすと20万円以下の雑所得は申告不要
- 事業所得だと個人事業税がかかることもある
以上のように、副業をはじめるにあたって事業所得か雑所得かでさまざまな違いがあります。
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心配な方は、確定申告の前に税の専門家である税理士に状況を説明し、どのような所得で申告したらいいかの助言を受けてみてください。
当社は本記事の事業所得なのか雑所得なのかなどのご相談にも丁寧に対応いたします。各所得について専門家の意見が聞きたい人はお気軽にご相談ください。
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