こんな交際費は否認される【お年玉、社員旅行、その他】
記事作成日 2020/10/06 記事更新日 2023/02/05
一般的に取引先や仕入れ先、関係会社など、外部との接待等に支出した費用を「交際費」とする会社がほとんどだと思います。その一方で中小企業の交際費には上限が設けられているため、なんでもかんでも交際費として計上してしまうとあっという間に限度額を超え、経費が認められなくなるケースもでてきます。
実際、交際費の中に「会議費」や「販売促進費」、「旅費交通費」、「寄付金」などが含まれているケースも少なくありません。そこで本記事では、交際費とそのほかの経費の線引きがどこにあるのかを具体例とともにご紹介しています。
Contents
交際費とは
税務上の交際費とは、事業者がその得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答する行為の支出をいいます。
交際費との区分が曖昧なケース(販促費vs交際費、旅費交通費vs交際費、会議費vs交際費、寄付金vs交際費)
一定の条件を満たしている中小企業の交際費は、次のいずれかの大きい方が上限となります。
- 800万円までの交際費等
- 接待飲食費(社内接待費を除く)の50%
交際費は損金処理できる額に上限があるだけに、似たような費用との違いをきちんと分けて仕訳する必要があります。交際費とよく間違われるのが以下の4つの経費です。
1 販売促進費
販売促進費とは商品の売上を伸ばすために使用した経費をいいます。売上を伸ばすための経費と聞くと「交際費」や「宣伝広告費」と混同する人も多いのではないでしょうか。実際、「宣伝広告費」と「販売促進費」に関しては、どちらの勘定科目を使用しても間違いではありません。
線引きをするのであれば、商品を売るために必要な販売手数料などの直接的な費用=販売促進費。一方、商品を売るためにCMやSNSなどで商品を宣伝する間接的な費用=宣伝広告費と呼びます。
ただし、「交際費」と「販売促進費」の使い分けはしっかり確認してください。
- 販売促進費・・・不特定多数の事業者の支出する費用
例)全取引先への試作品やキャンペーン商品の配布 - 交際費・・・特定の事業者(取引先等)に支出する費用
例)特定の取引先へのお中元やお歳暮
≪販売促進費に該当する経費≫
- 商品の無料サンプルを作成した費用
- お試しキャンペーン開催代
- 販売手数料
2 旅費交通費
旅費交通費とは、遠隔地等で行う事業にかかる「宿泊費」や「交通費」をいいます。例えば、仕入れ先や取引先に向かうために利用したタクシー代や駐車場代は「旅費交通費」で仕訳します。一方、10周年記念と題して、仕入れ先や取引先の皆さんを接待する前後に送迎するタクシー代は「交際費」に該当します。
「接待費」なのか「旅費交通費」なのかを判断するポイントとしては、費用が発生した理由に「接待」が関係しているか否かです。
交際費に該当するタクシー代を例にあげると、そもそも接待がなければタクシー代も発生していません。つまり、接待をした結果生まれる「宿泊費」や「交通費」など=交際費、それ以外の「宿泊費」や「交通費」など=旅費交通費と分けると区別しやすいです。
≪旅費交通費に該当する経費≫
- 駐車場代
- 高速道路代
- 接待のない取引先に向かうために利用したタクシー代
3 会議費
会議費とは、自社で行われた会議や取引先、仕入れ先との打ち合わせで支出した費用のこといいます。会議費には、会議が行われる会場や会議資料の作成にかかる費用なども含まれ、お弁当やおやつなどの昼食代も会議として計上できます。
「接待費」なのか「会議費」なのかを判断するポイントとしては、旅費交通費と同様に費用が発生した理由に「接待」が関係しているか否かで判断するのがいいでしょう。また、飲食に関しては、5,000円以下の飲食を会議費として仕訳する会社もあります。
その理由は、金額が1人あたり5,000円以下の飲食の場合は下記の5つの項目等を満たしている場合に税務上、「交際費」ではなく「会議費」として処理できるとされています。
- 飲食が行われた年月日の記載
- 全体の参加人数の記載
- 打ち合わせした取引先と自社との関係性
- 飲食の金額
- 利用した飲食店の名称と住所
「会議費」としての証拠をしっかり残しておきたいと考える人は、打ち合わせ内容を記載した「議事録」の作成しておくことをおすすめします。
≪会議費に該当する経費≫
- 打ち合わせのために支出したお弁当やお菓子代
- 会議場所費用
- 会議資料作成代
4 寄付金
寄付金とは、見返りを求めずに行う金銭や物品その他経済的利益の贈与または無償の供与をいいます。拠出金や見舞金等(災害見舞など)と呼ばれるものは寄附金に該当をします。「交際費」と「寄付金」の区別するポイントは相手側が事業となんら関係ない個人または団体であるか否か。また、贈与または無償で供与したものに対して見返りを求めるか否かがポイントとなります。
交際費は、基本的に仕事を発注してもらうためなどの理由から取引先に物品を贈与します。一方、事業に直接関係ない相手に対して、見返りは期待せず贈与されるものが寄付金の対象です。
≪寄付金に該当する経費≫
- ふるさと納税
- 日本赤十字団体などへの寄付
- 神社への寄贈金
交際費は消費税区分にも注意(冠婚葬祭など)
交際費のなかには、消費税がかからない取引(不課税・非課税など)があります。
≪非課税交際費≫
- 商品券、米券、ビール券など
≪不課税交際費≫
- ご祝儀
- ご香典
- 見舞金などの慶弔費
- 海外の航空券や旅券
- ゴルフ場利用税(ゴルフプレー代は課税)
- 入湯税(入湯料は課税)
- 返還されるゴルフクラブの入会金
まとめ
今回は「交際費」に着目した記事をご紹介しました。交際費は区分があいまいな分、線引きが非常に難しい費用のひとつに数えられます。
当社は本記事でご紹介した「交際費」のようにあいまいな経費などの相談も気軽にご相談できます。専門家の確かなアドバイスのもと、交際費とその他の経費をしっかり分別し、税務調査がいつきてもいいように正しい処理を心がけましょう。
併せて読みたい「交際費を会議費に計上して節税」。
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