固定資産は定率法で早めに減価償却を計上しよう

固定資産は定率法で早めに減価償却を計上しよう

記事作成日 2020/08/30    記事更新日 2023/02/05

固定資産は取得にかかった費用を単年で計上するのではなく、減価償却といって複数年にわたって計上します。減価償却の方法には定額法と定率法の2種類があり、定率法の方が初年度に多くの減価償却費を計上でき、節税額が大きくなります。

今回は固定資産の減価償却について解説します

固定資産について

固定資産とは

固定資産は「有形固定資産」「無形固定資産」「投資・その他の資産」に分類され、それぞれ取得価格が10万円以上のものを指します。有形固定資産には建物や土地、車などが、無形固定資産にはソフトウェアや特許権などが、投資・その他の資産には出資金や投資有価証券などが含まれています。

減価償却とは

これらの固定資産は長年に渡って使用するものであり、年月を経るごとに価値が下がっていくものとみなされます。

そのため、その固定資産を取得した初年度に全ての金額を費用計上するのではなく、固定資産ごとに定められた法定耐用年数の間で、定額法あるいは定率法によって計算された金額を毎年計上していく減価償却という方法によって計上を行います

減価償却の方法

減価償却の方法には定額法と定率法の2種類があります。どちらも法定耐用年数で取得価格を減価償却しきるように計上するという点は同じですが、毎年の減価償却費の計算方法が異なります。

定額法

定額法は、その名のとおり毎年一定の金額を減価償却費として均等に計上する方法です。法定耐用年数によって定額法償却率が定められており、取得価格にこの定額法償却率を乗じた額が1年間に計上する減価償却費です。

ただ、法定耐用年数を過ぎても実際にはその固定資産は残り続けるため、償却期間の最終年は備忘簿価として1円だけ残し、残りの金額を計上します。

例えば、取得価格40万円、法定耐用年数4年の固定資産があった場合、定額法償却率は0.25となるため、毎年計上する減価償却費は
40万円×0.25=10万円(4年目のみ、備忘簿価1円を残すため9万9.999円の計上)となります。

定率法

定率法は、残存する簿価が毎年一定の割合で減価償却されていくように計上する方法です。計上額は初年度が一番多く、年を重ねるごとに減価償却費が小さくなっていきます。定率法で計算する場合、その年の減価償却費は
未償却残高(取得価格-その年までに減価償却した合計額)×定率法償却率で計算されます。

ただ、この計算で算出された金額が償却保証額(取得価格×償却保証率)に満たない場合、その年以降の減価償却費は
改訂取得価格(償却保証額を下回った年の前年度期末帳簿価格)×改訂償却率で計算されます。

計算に使用する定率法償却率、償却保証率、改訂償却率は法定耐用年数によってそれぞれ定められています。また償却期間の最終年に備忘簿価として1円を残す点は定額法と同様です。

例えば、先ほどの取得価格40万円、法定耐用年数4年の固定資産は、定率法償却率0.5、償却保証率0.12499、改訂償却率1.0と定められています。これらを使って計算すると、減価償却費はそれぞれ以下のようになります。

  • 1年目:減価償却費=未償却残高40万円(取得価格40万円-累積減価償却費0円)×0.5=20万円
  • 2年目:減価償却費=未償却残高20万円(40万円-20万円)×0.5=10万円
  • 3年目:減価償却費=未償却残高10万円(40万円-30万円)×0.5=5万円
  • 4年目:未償却残高5万円(40万円-35万円)×0.5<償却保証額4万9996円
    (取得価格40万円×償却保証率0.12499)のため、
    減価償却費=改訂取得価格5万円×1.0-備忘簿価1円=4万9,999円

定額法と定率法どちらを適用すべきか

定率法での減価償却がおすすめ

上記の例のように、定額法に比べて定率法は初年度に計上する減価償却費が大きく、それだけ節税額も大きくなります。ただ、定率法を選択する場合、適用年の3月15日までに税務署へ届出が必要なため注意が必要です。

資産によってはどちらで償却するか決まっているものも

固定資産の種類によっては、定額法・定率法どちらで償却するのか定められているものもあります。

例えば建物やその付属設備、無形固定資産などは、定額法での減価償却が定められているため、定率法の届出をしていたとしても定額法で減価償却費を計上する必要があります。

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まとめ

ここまで固定資産の減価償却について解説してきました。

定額法は毎年同額を減価償却費として計上、定率法は初年度に最も多くの金額を減価償却費として計上する計上方法ですが、多くの場合、固定資産購入時のキャッシュアウトは購入初年度に最も高額となり、節税のタイミングも初年度に合わせた方が資金繰り面からも効果的です。

そのため、定率法を選べる固定資産については定率法を使っての減価償却がおすすめです。

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