交際費は800万円が上限ってホント?それ以上経費で落とすための方法
記事作成日 2020/09/09 記事更新日 2023/02/05
1.交際費は800万円を超えると使えない?
中小企業の経営者であれば、800万円を超えてしまうと交際費は使えないと聞いたことがある人もいるかもしれません。800万円を超えると交際費は使えないという言い回しは、ある意味正解の部分もありますが、間違っている部分もあります。ということで、交際費についてみていきましょう。
まず前提として、交際費の800万円の上限について意識しなければならないのは、法人税について考える時です。800万円を超える交際費はお金を使っても税金は減らせないよ、という意味合いであり、会社から交際費が一切使えなくなるという意味ではありません。
このように、法人税の計算と会社の会計は分けて考える必要があるという点は抑えておいてください。
法人税において交際費は中小法人と大法人で取り扱いが異なります。上記で見ていた800万円というのは中小法人に適用される上限金額となります。では、中小法人と大法人でそれぞれみていきましょう。
2.中小企業における交際費とは?
まず交際費の定義ですが、措置法第61条の4第4項に規定されています。
交際費とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下、「接待等」という)のために支出する費用をいいます。
なお、ここでいう事業に関係のある者には、事業で直接取引関係のある者だけではなく、間接的に会社の利害関係がある者も含まれており、会社の役員、従業員、株主等も含んでいます。
国税庁のHP のタックスアンサー(よくある税の質問)のNo.5265に上記に該当するものとして例示が書かれています。
従業員の慰安のために行われた旅行などの費用や、飲食や飲食に関連する費用で1人5,000円以下の費用などが該当するとされています。
交際費は、支出した金額を無制限に損金として認めてしまうと、会社の業務に関連しないものや、過度に接待等で使ってしまい、恣意的に税金を少なくすることが可能になってしまいます。よって、交際費にあたる費用は、原則損金不算入になります。一方で交際費には取引先への接待を通じて売上につながるという側面もあります。
また、交際費により、消費支出を増やし、経済を刺激する側面もあることから、国は中小企業に対し、一定額の損金算入を認めています。その損金算入限度額が800万円となっています。以上から、中小企業では800万円までの交際費全額が損金として認められ、それを超えてしまうと損金不算入となります。ここまでが原則的な考え方に基づく交際費の損金不算入です。
その後、平成25年度の税制改正で、消費の拡大を通じた経済の拡大を目的に「交際費課税の特例」が設けられました。これは全ての法人において適用できるように対象が設定されました。
(注:令和2年9月現在、資本金等の額が100億円超える企業は除外されています)
具体的には、接待飲食費に該当する費用のうち50%が損金として認められるというものです。中小法人においては、「年間800万円の枠」と「接待飲食費の50%損金不算入」の有利な方を選択することができます。
以上をまとめると現在の中小法人における交際費は以下の通り選択することで有利となっています。
年間接待飲食費の額が1600万円超、あるいは、交際費が800万円超(接待飲食費が0円のケース) | 交際費の内、接待飲食費の50% |
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年間接待飲食費の額が1600万円以下、あるいは、交際費が800万円以下 | 年間800万円の枠(定額控除) |
3.大法人での交際費は?
次に大法人での交際費ですが、上記で説明した通り、原則は損金不算入となっています。
ただし、先述の通り資本金等の額が100億円以下の企業においては「交際費課税の特例」を適用することができるため、接待飲食費の50%が損金として認められることになります。よって、大法人の交際費は接待飲食費の50%が上限になります。
4.まとめ
ここまで交際費についてみてきました。交際費については原則損金として認められないものの、中小企業については定額控除が認められています。また、現在は「交際費の特例」が認められており、交際費のうち、接待飲食費の50%まで損金として含めることができます。
つまり、中小企業においては定額控除(800万円)と接待飲食費の50%を比較し、損金算入額が大きくなる方を選択し、選択した方法で計算した額が損金として算入することができます。一方、大企業においては接待飲食費の50%までが損金として算入されることとなります。
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