資本金の半額は資本準備金に入れて節税出来る
記事作成日 2020/08/30 記事更新日 2023/02/05
1.資本金と資本準備金の違いは
資本金の半額を資本準備金に入れることで節税できます。と言っても、そもそも資本金は何なのか、資本準備金は何なのか、それぞれの違いは何なのかが分からなければ、資本金の半額を資本準備金に入れることで節税できると言ってもわかりません。
と言うことでまずは資本金と資本準備金の違いについて、それに関連する資本剰余金、利益剰余金なども含めてみていきましょう。
株式会社を設立する際に資本金というものが必要となります。会社の発起人がお金を出資したそのお金が設立時の資本金となります。会社法以前の商法では会社設立のために最低1,000万円が必要となっていましたが、会社法の施行とともに資本金は1円でも設立ができることとなりました。ただし、金額が少ないと会社の信用力も高くならないため、留意が必要です。
次に資本準備金ですが、資本金のうち、株主が払い込んだ額の2分の1を超えない額については資本金として計上しないことができるとされており、その資本金として計上しないこととした額が資本準備金として計上しなければならないとされています。なお、資本準備金は配当することができないです。
また、資本剰余金ですが、資本剰余金とは資本準備金とその他資本剰余金を合わせたものとなります。資本剰余金のうち、その他資本剰余金については資本準備金とは異なり、配当原資とすることができます。
ただし、準備金(資本準備金と利益準備金の合計)が資本金の4分の1よりも少ない場合は資本準備金として計上しなければならず、その他資本剰余金に計上することができません。
最後に、利益剰余金ですが、利益剰余金とは会社の取引において得た利益を源泉とするものです。なお、この利益剰余金は、配当するために積み立てる利益準備金、特定の目的のために積み立てる利益積立金、会社の利益の蓄積部分となる繰越利益剰余金から構成されています。
2.資本金の抑えるメリットは
では、資本金を抑えることでどのようなメリットがあるのでしょうか。資本金を抑えることで税金の取り扱いが変わってきます。
そのラインとして以下の2つのラインがあります。
- 資本金1千万円未満
- 資本金1億円以下
まず、資本金1千万円未満においてですが、資本金が1千万未満で会社を設立すると、設立後2年間は消費税を納めなくてもいいという制度があります。
国税庁のホームページの中にあるタックスアンサー(よくある税の質問)No.6501にあるように、新たに設立された法人については、設立1期目及び2期目の基準期間がないので、原則として消費税納税義務が免除されますが、基準期間のない事業年度であってもその事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である場合などに該当する場合は、納税義務は免除されないと書かれます。
ということで、上記の通り、資本金を1千万円未満で会社を設立することで、2年間の消費税の納付を免除されるのです。
次に資本金1億円以下においては、以下のメリットがあります。
- 中小企業の税制の適用
- 外形標準課税の対象外
まずは中小企業の税制ですが、1億円以下となった場合、法人税法上、中小企業という扱いとなります。
法人税法における中小企業では以下のメリットがあります。
- 法人税率
- 交際費の算入限度額
- 少額減価償却資産の損金算入
- 欠損金の繰戻還付
- 各種税額控除
中小法人であれば、課税所得が年8百万円までの部分は15%(大法人などでは23.2%が適用)の税率が適用され、インパクトはそこまで大きくはないですが年間で656,000円(=8,000,000×(23.2%-15%))の節税となります。
(中小法人の定義などは国税庁のホームページ内のタックスアンサー(よくある税の質問)No.5759法人税の税率をご覧ください。)
また、交際費の算入限度額ですが、こちらは年間8百万円または取引先との飲食代の50%のいずれかの金額となります。つまり、年間の接待交際費が16百万円を超えなければ定額控除、年間8百万円の方が得ですし、16百万円を超えるのであれば取引先との飲食代の50%の方が得になります。後者は大法人でも適用されるので、中小法人の観点で節税になるのは年間の接待交際費が16百万円までの時です。
(詳細は国税庁のホームページ内のタックスアンサー(よくある税の質問)No.5265交際費等の範囲と損金不算入額をご覧ください。)
少額減価償却資産の損金算入ですが、中小法人では取得価額が30万円未満の資産を取得した際に年間3百万円までは全額損金に計上できるというものです。大法人では減価償却されることで最終的には全て損金にはなりますが、一括で損金にする方が単年の損金は多くなりますので節税となります。
その他、中小法人には欠損金の繰戻還付や各種税額控除など様々な税制があるため、資本金の額を1億円以下にすることで節税をすることができます。合わせて1億円以下の中小法人では外形標準課税の対象となりません。外形標準課税は利益に応じて税金計算がなされるのではなく、会社の規模をもとに課税される税金のことを指します。
以上のように、資本金の金額を抑えることで様々な税制を活用し、節税することができます。なので、標題にもあるように資本金の半分を資本準備金にすることで節税することができるのです。
3.資本金を減額することで節税
ここまで資本金の内容を見た上で、減額することによる節税の効果をみてきました。資本金の金額を減らすことで、中小企業などに分類され、税率やその他税務上、節税できる項目があります。そのため、資本金に組み入れようとしている金額のうち、半額を資本準備金にすることで節税できる可能性があるのです。つまり、資本金の半額は資本準備金に入れましょう。
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