サラリーマンでも自腹経費が控除される!特定支出控除とは
記事作成日 2020/08/10 記事更新日 2023/02/05
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特定支出控除とは
個人事業主は、売上から経費が差し引かれた分が所得とみなされ、この所得に対して税金がかかります。そのため、個人事業主はなるべく多くの費用を経費算入することで節税が可能です。実はサラリーマンでも同様に、一定の条件下で給与収入から経費のように控除できる「特定支出」という費用があります。
今回はこの特定支出控除を用いた節税について解説します。
特定支出とは
特定支出とは、以下の8つの費用のことを指します。それぞれ特定支出と認められる要件があるため注意しましょう。またどの費用も会社から手当として支給される分があるのであれば、その分を差し引いた分のみが特定支出と認められます。
通勤費
公共交通機関を使った通勤の場合は交通費、マイカー通勤の場合でもガソリン代や高速料金などがかかる場合は、それらの費用が特定支出と認められています。ただグリーン車の利用など、通常の通勤手段プラスアルファの部分は特定支出に該当しません。
転居費
転勤に伴って転居が必要となった場合、かかる引越し代金や宿泊費、梱包資材費用など、通常の引越しに必要と認められるものであれば特定支出となります。
研修費
職務に直接関係する知識や技術を習得するための研修参加費用や、参加に当たってかかった交通費や宿泊費は特定支出となります。
資格取得費
研修費と同様に、職務に直接必要となる資格の取得にかかる費用は特定支出と見なされます。また平成25年度からは、弁護士や公認会計士等の資格取得のための費用も対象となっています。これらは結果的に資格取得できなかった場合でも特定支出とすることが可能です。
帰宅旅費
単身赴任者が自宅へ帰宅する際の旅費も特定支出となります。ただ特定支出と出来るのは月4往復分まで、また通勤費と同じくグリーン車等通常の帰宅費用プラスアルファの部分は特定支出に該当しないなどの条件が定められています。
図書費
職務に直接関連する書籍等の購入費は特定支出となります。ただ特定支出とできる金額の上限が設定されており、以下で紹介する衣服費・交際費と併せて65万円分までしか特定支出に含めることができません。
衣服費
勤務中に着用する必要がある制服やスーツの購入費用も特定支出とすることができます。アパレルなどで自社ブランドの服の購入・着用が義務付けられている場合の購入費用なども特定支出と認められています。
交際費
得意先や仕入れ先への接待費用や贈答にかかる費用は交際費として特定支出に含めることが可能です。しかし、職場内での親睦会や慶弔にかかる費用はその限りではありません。
控除後の給与所得の計算
特定支出控除額の算出方法
上記8つの特定支出の額が算出できたら、特定支出控除額がいくらになるのか計算してみましょう。特定支出控除額は以下の式で算出されます。
特定支出控除額=特定支出-(給与所得控除額×1/2)
給与所得控除額とは、給与を所得とする会社員等全員に適用される控除で、年収によってその計算式が異なっています。
例えば年収300万円の会社員の場合の給与所得控除額は年収×30%+18万円で計算され、108万円となります。特定支出が60万円だった場合、特定支出控除額は60万円-(108万円×1/2)=6万円となります。
給与所得の計算
特定支出控除額が計算できたら、年収から給与所得控除額と特定支出控除額を引いた額がその年の給与所得となります。先ほどの例だと、年収300万円-給与所得控除額108万円-特定支出控除額6万円=給与所得186万円という計算になります。
特定支出控除の申請方法
特定支出控除は年末調整では対応できないため、自分で確定申告を行って控除を受ける必要があります。以下でその方法を解説します。
1.それぞれの費用ごとに「特定支出に関する証明書」を作成
特定支出控除は、職務に必要な費用だが全額自腹、あるいは一部しか会社で負担されないという費用が対象となっています。そのため、当該費用が職務に必要な費用であるということを会社に認めてもらう必要があります。
具体的には、国税局のHPからダウンロードするなどして証明書を入手し、必要事項を記入後、会社側に署名・捺印を依頼します。
2.その他書類を揃える
証明書の他にも、特定支出があった際の領収書や明細書等が必要になるため、支出の都度必ず保管しておきましょう。また源泉徴収票も必要です。
3.確定申告を行う
確定申告の時期になったら、1や2で揃えた書類を元に、「給与所得者の特定支出に関する明細書」を記入、他の書類とまとめて税務署へ提出し、確定申告を行います。
まとめ
特定支出控除は、確定申告が必要であったり、給与所得控除額の1/2以上という多額の特定支出がないと控除されなかったりと、ややハードルの高い節税方法です。
しかし、平成25年の法改定で士業等の資格取得費用も特定支出と認められることとなり、例えば弁護士になるためのロースクール費用も特定支出に含められるようになりました。資格取得費用や研修費等は高額になりやすい費用のため、もしそのような支出があった年には特定支出控除の節税を考えてみてはいかがでしょうか。
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