棚卸資産の評価方法を変更すると税金が減る?その方法とは
記事作成日 2020/08/30 記事更新日 2023/02/05
棚卸資産の評価方法を変更して売上原価を高く計上することにより、利益を圧縮し節税につなげることが出来ます。
今回はその棚卸資産の評価方法の変更について解説します。
Contents
棚卸資産の評価
棚卸資産とは
棚卸資産とは一般に「在庫」のことを指します。企業や個人事業主が販売を目的として一時的に保管しているものを棚卸資産と呼びます。
例えば小売業では売れる前の商品が、不動産業などでは自社が保有する土地など、飲食店などでは食材などが棚卸資産に該当します。また棚卸資産には商品のほか、作りかけの商品である仕掛品、商品の元となる原材料などが含まれます。
棚卸資産の評価と節税の関係
ではその棚卸資産の評価がどのように節税に関係してくるのでしょうか。
税金は利益に対してかかってくるため、利益が少なくなればそれだけ支払う税金も少なくなります。利益は、売上高-売上原価-経費で計算されるため、売上原価や経費が大きくなればその分利益が圧縮されることとなります。
また、売上原価=期首の棚卸高+当期の仕入高-期末の棚卸高、期末の棚卸高=個々の棚卸資産の期末評価額×個々の棚卸資産の数量の総和でそれぞれ計算されます。そのため、棚卸資産の期末評価額が下がれば、期末の棚卸高が減り売上原価が大きくなるため、利益が圧縮される=節税につながるということです。
棚卸資産の評価方法
では棚卸資産の評価方法にはどのようなものがあるのでしょうか。評価方法には大きく分けて原価法と低価法の2種類があり、税務上では特に届出などをしていなければ棚卸資産は「最終仕入れ原価法」という原価法の1つを使って評価されます。
この評価方法は届出をすることで変更することが可能です。この評価方法を「低価法」に変更することで棚卸資産の評価額を下げることができる場合があります。
最終仕入れ原価法
起業時に届出などをしていなければ、この「最終仕入れ原価法」を使って期末の棚卸資産を評価することとなります。
これは仕入れ日のうち期末に最も近い日の仕入れ単価(=最終仕入れ単価)をその棚卸資産の期末単価として評価する方法です。単価の計算が楽であるという反面、期中の単価変動が激しい場合、評価額が期末の市場価格と乖離するという点に留意する必要があります。
例えば、3月末決算の企業で12月に@100万円で仕入れた商品が在庫として残っている場合、3月末時点での商品価格が@80万円に下がっていたとしても、税務処理上は@100万円として期末棚卸高を計算しなければなりません。
低価法
低価法は原価法で評価された単価と期末時点の単価のうち、低い方の単価を使って期末棚卸高を評価する方法です。
前述の、最終仕入れ単価@100万円、期末時点での商品価格@80万円という例の場合、低価法で評価する場合は@80万円として期末棚卸高を計算することができるため、原価法で計算した場合に比べ、期末棚卸高の金額を下げることができます。
低価法を使って評価を行う場合は、税務調査対策として、期末時点の単価(時価)をどのように把握したかを資料として残しておく必要がある点と、青色申告者のみが選択できる方法であるという点に注意しましょう。
棚卸資産の評価方法の変更方法と注意点
申請書を税務署に提出する
棚卸資産の評価方法を変更する場合は、所轄の税務署に「棚卸資産の評価方法の届出」を提出する必要があります。この届出には提出期限があり、当該評価方法を適用したい年の3月15日までに提出する必要があるため注意しましょう。
毎年のように評価方法を変更することはできない
また、一度棚卸資産の評価方法を変更した場合、特別な理由がない限りは一定期間同一の評価方法を使用する必要があります。その年々によって節税額が大きくなるように評価方法を選択する、ということはできません。
まとめ
棚卸資産の評価方法の変更は、キャッシュアウトなしにできる節税対策です。
特に電化製品など、次々と新商品が出てきて型落ちの商品価格が下落していくような業種や、季節商品などシーズン外では価格が下がるような商品を扱う業種では、低価法を選択することで大きく節税につながることがありますので、自らの事業や経営状況にあった評価方法を選択しましょう。
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