少額減価償却資産の特例を使う際のポイントと注意点【30万円まで一括損金】

少額減価償却資産の特例を使う際のポイントと注意点【30万円まで一括損金】

記事作成日 2020/08/02    記事更新日 2023/02/05

機械や設備などは固定資産とみなされ、通常は購入年度から数年にわたって減価償却をする必要があります。しかし、青色申告で確定申告を行う事業主などの条件を満たせば、少額減価償却資産の特例を活用し、購入年度に一括して経費計上することも可能です。

今回はその少額減価償却資産の特例についてご紹介します。

減価償却資産について

減価償却資産とは

1つあたりの単価が10万円以上するような機械や設備については、長期間使用する固定資産とみなされ、減価償却と呼ばれる計上方法で処理する必要があります。そのような資産を減価償却資産と呼びます。例えば間仕切りなどの設備やパソコン、ソフトウェアや車などが減価償却資産に該当します

減価償却資産の計上

減価償却資産は、取得価額を定額法あるいは定率法という計算方法を用いて分割し、減価償却費としてその資産の耐用年数に応じて計上するのが原則となっています。ただ一定の要件を満たせば、少額減価償却資産の特例として、購入年度に一括で償却することが可能になっています。

少額減価償却資産の特例

少額減価償却資産の特例活用の要件

少額減価償却資産の特例を活用する要件は、

  1. 青色申告法人であること
  2. 取得価額が30万円以下であること
  3. 常時使用する従業員の数が500名以下であること
  4. 連結法人では無いこと

の4つが要件となっています。

特に③④については、令和2年度の税制改正で変更になった部分のため、従来こちらの特例を活用していた法人でもよく確認する必要があります。これら4つが当てはまる減価償却資産については、取得年度に一括で償却し、節税に繋げることができます。

またこの特例は、新品だけではなく中古品を購買した場合にも適用が認められています

少額減価償却資産の特例を活用するかは選択式

こちらの特例を活用し一括償却するか、活用せず通常通り複数年に分割して減価償却するかは選択式となっています。そのため、利益が想定以上に多く出た年度に取得した場合は特例を活用し節税を、利益が少なかった年度に取得した場合は特例を活用せず、利益を減らさないようにすることも可能です。

少額減価償却資産の特例活用時の注意点

少額減価償却資産の特例が活用できるのは年間300万円まで

こちらの特例が活用できるのは、1年度あたり300万円までとなります。例えば、取得価額50万円のパソコンを10台購買した場合、少額減価償却資産の特例が適用されるのは6台のみ(50万円×6台=300万円)となり、残りの4台については通常通り複数年にわたって減価償却をする必要があります。

取得価額の判定が税抜と税込どちらになるか

取得価額がいくらになるかは、税抜処理をしているのか税込処理をしているかによって変わってきます

税抜価格が30万円のプリンターを購買した場合を考えてみましょう。決算書を税抜で作成している事業所については、取得価額が30万円になり少額減価償却資産の特例の適用対象になります。決算書を税込で作成している事業所については、取得価額は税込の33万円となり少額減価償却資産の特例の適用対象外となります。

少額減価償却資産の特例には期限がある

少額減価償却資産の特例は恒常的な措置ではなく、2022年3月31までの特例となっています。ただこちらは延長される可能性があるため、税制の改正時には注視しておく必要があるでしょう。

まとめ

少額減価償却資産の特例は、最大で300万円を一括で償却することで利益を圧縮し、節税に繋げられるものです。こちらを活用できる事業主は青色申告を行っている必要があるなど条件がありますが、要件のハードルが低いことと、特例を適用するか否かの判断が事業主に任されているなど、比較的取り組みやすい節税対策となっています。

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