【青色・白色】専従者給与の取り方
記事作成日 2020/10/06 記事更新日 2023/02/05
青色申告と白色申告の違いをまとめた記事はこちら
事業を営んでいる中で、家族や親族を従業員として雇うケースも出てくると思います。家族や親族は税法上「専従者」という扱いになります。専従者への給与を経費計上するには、一定の条件を満たさなければなりません。また、確定申告の方法によっても、専従者給与の取り扱いは異なってきます。本記事では、専従者給与の取り扱いについて、各パターンの概要・注意点を解説していきます。
Contents
専従者給与とは?
専従者とは、個人事業主と生計を一にしている配偶者、15歳以上の親族など、家族の従業員のことを指します。必ずしも同居している必要はなく、同じ家計で生活していれば「生計を一にしている」と認められます。この専従者に支払う給与のことを「専従者給与」と呼びます。
税法上、白色申告では専従者給与は経費で落とすことができません。家族である場合、給与としてお金の移動があったとしても、実質的にはお金の所在は変わっていないと見なされるためです。ただし、青色申告の場合は、一定の条件を満たすことで、専従者給与を経費として計上することが可能になります。
青色申告で専従者給与を経費計上する条件
青色申告で、家族・親族への専従者給与を経費で落とすためには、下記の条件をすべて満たす必要があります。
- 年末時点で、年齢が15歳以上である
- 6ヵ月以上、個人事業主が行う事業に従事している
これらの条件を満たすことで、家族・親族への給与は「青色専従者給与」という扱いになり、経費計上することが可能になります。
ただし、青色専従者給与を利用するためには、税務署へ事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しておく必要があります。提出期限は、下記の通り設定されています。
→青色専従者給与として計上する都市の3月15日
・開業または新たな事業専従者の追加が1月16日以後
→開業または新たな事業従事者を追加した日から2ヵ月以内
届出にて事前に記入してある金額の範囲内で、専従者給与を経費で落とすことが可能になります。ただし、家族・親族への給与額は、他の一般従業員と比べて著しく乖離している場合は、労働の対価を超える部分は経費として認められません。あくまでも、適正な範囲内で事業者給与を設定する必要があります。
白色申告では、事業専従者控除が認められている
白色申告では、専従者給与を経費として計上することができません。その代わりに「事業専従者控除」と呼ばれる制度が用意されています。事業専従者控除では、支払った金額に関係なく、一定の金額が控除として差し引かれます。事業専従者控除の金額は、下記の金額のうち低い方の金額が適用されます。
青色申告と白色申告の違いをまとめた記事はこちら
- 事業専従者が事業主の配偶者である場合は86万円、配偶者でない場合は専従者1人あたり50万円
- 事業専従者控除を適用させる前の事業所得等の金額を専従者の数に1を足した数で割った際の金額
法人の場合は、経費計上のルールが変わってくる
法人の場合は、会社と事業主、また事業主の家族は別々に捉えられます。したがって、家族・親族に対する給与の扱い方も個人事業主の場合とは異なってきます。ポイントになるのは、家族・親族を「役員」にするか否かです。
家族を役員にする場合
家族を役員にする場合は、事業専従者給与ではなく「役員報酬」という扱いになります。役員報酬を経費として落とすためには、毎月同額の金額を支給する必要があります。月によって、役員報酬にバラつきがある場合は、役員報酬の全額を経費として落とすことはできないので、注意してください。
家族を役員にしない場合
家族を役員にしない場合は、青色専従者給与の扱いと同じになります。労働対価を超える部分の金額は、同様に経費として計上することはできません。ただし、事前に税務署へ届け出る必要はありません。
青色申告と白色申告の違いをまとめた記事はこちら
まとめ
親族・家族への給与は青色申告、白色申告で扱われ方が異なってきます。
青色申告の場合は「専従者給与」として全額経費にすることが可能です。白色申告の場合は、支給する給与額に関わらず、控除が適用されます。法人の場合は、親族・家族は役員になると「役員報酬」の扱いになり、給与額をより高額に設定することが可能です。
今回紹介したいずれかの方法を用いて、親族・家族への給与を節税に利用していきましょう。
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