課税?それとも非課税?消費税を知って節税しよう

課税?それとも非課税?消費税を知って節税しよう

記事作成日 2020/10/14    記事更新日 2023/02/05

事業を行って利益を得ている場合、企業規模や売上高に応じて「消費税」を納める必要があります。消費税が非課税となる条件を抑えれば、節税することが可能になります。今回は、消費税の概要、課税対象、課税条件など、節税につながる情報をまとめていきます

消費税とは?

消費税とは、「消費に対して課せられる税金」です。個人が商品を買ったり、サービスを受けたりした際に、税金を負担します。通常は、実際に消費税を負担するのは消費者個人です。しかし、国民全員が毎回の消費のたびに税務署へ行って納税するのは現実的ではありません。税務署側としても、すべての処理を行うのに多大な労力がかかってしまいます。

そこで、国は消費者に代わって事業者が代理で税務署に消費税を支払う仕組みを整備しました。商品を購入したり、サービスを受けた人はお店に消費税を支払って、受け取った消費税をお店が税務署へ納めることになります。

消費税の課税対象

消費税の課税対象は、下記の条件に当てはまるものです。

  • 日本国内で発生したもの
  • 対価を得て行われたもの
  • 事業者が事業として行われたもの
  • 資産の譲渡、貸付又は役務の提供であるもの

日本国内で事業を行っている事業者(法人、個人事業主)が販売している商品、提供しているサービスは、ほとんどすべてが課税対象となると考えてよいでしょう。店側は、商品を売る際、またサービスを提供する際に、消費税分を価格に反映させなければいけません。

消費税の納税義務がある事業者

消費税の納税は、事業者の規模によって納税義務の有無が変わってきます。税金計算の実務面での負担を考慮して、一定規模以上の事業者のみ、消費税を納税することになります。消費税納税の義務がある事業者は、下記の条件に当てはまる事業者になります。

  • 2期前の課税売上高が1,000万円を超えている
  • 資本金が1,000万円以上の法人
  • 前期の上半期の課税売上高または給与が1,000万円を超えている
  • 課税事業者を選択している
  • 課税売上高5億円超の企業から過半数の出資を受けている法人

2期前の課税売上高が対象となる点、注意してください。2期前という条件が適用されることから、「開業年度」と「開業した翌年度」は消費税の納税は免除となります。

ただし、資本金が1,000万円以上の法人の場合は、新規開業した年から納税義務が生じます。加えて、事業が急成長して、前期の上半期の課税売上高が1,000万円を超えた場合も、2期前の売上高の大小にかかわらず、納税義務が生じます。開業1年目で消費税を支払う可能性もあるのです。

また、課税売上高5億円超の大企業が過半数の出資をしている企業、いわゆる「子会社」の場合は、売上高の大小にかかわらず、消費税を納税しなければなりません。これは大企業が消費税の節税対策で、子会社を利用できなくするためです。ただ、出資元が大企業でなければ、子会社の課税売上高を1,000万円以下に抑えることで、節税対策を行えます。

消費税の税率

消費税の税率は、標準税率が10%(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)、軽減税率が8%(小税税率6.24%、地方消費税率1.76%)となります。軽減税率が適用されるのは、下記の品目の販売となります。

  • 飲食料品
  • 新聞

飲食料品に関しては、「酒類」「外食」「ケータリング」は対象外です。外食産業を行っているお店は、消費税10%が適用されることになります。「外食」の概念は、「店内」で食事をするか否かです。持ち帰り、テイクアウトを行う場合は「店内」での食事に該当しないため、軽減税率が適用されます。

消費税が非課税となるケース

消費税は、基本的にすべての消費に対して課されるものです。ただ、中には課税対象としてふさわしくないものもあり、社会政策的配慮から「非課税」となるケースが存在します。下記の17項目に関わる商品、サービスに関しては、消費税の非課税対象となっています。

  • 土地の譲渡及び貸付
  • 有価証券等の譲渡
  • 支払手段の譲渡
  • 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
  • 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売り渡し場所における印紙の譲渡及び
    地方公共団体などが行う証紙の譲渡
  • 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
  • 国等が行う一定の事務にかかる役務の提供
  • 外国為替業務に係る役務の提供
  • 社会保険医療の給付等
  • 介護保険サービスの提供等
  • 社会福祉事業等によるサービスの提供
  • 助産
  • 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
  • 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け等
  • 学校教育
  • 教科用図書の譲渡
  • 住宅の貸付け

(国税庁ホームページより抜粋)

住居や社会福祉、公教育など、人々の生活に深く関わるもので、かつ営利性が低いものに関して、非課税となるケースが多くなります。消費税を節税したい場合は、上記項目に関する事業を展開するのも一つの方法です。

消費税の計算方法

消費税の計算方法には、「原則課税方式」と「簡易課税方式」の2つの方法があります。どちらの計算方法を利用するかは、会社の判断で決めることが可能です。

原則課税方式

原則課税方式は、課税売上高から課税仕入高を引いた額に税率をかけます。計算式は下記の通りです。

消費税額=(課税売上高×7.8%)-(課税仕入高×7.8/110)

上記の式で計算された消費税額と、消費者から預かった消費税額の差額が、実際に納税する金額になります。原則課税方式では、会社の売上高のすべてが消費税の課税対象となる場合は計算が楽です。ただ、売上高の中に非課税の項目が含まれている場合、課税売上高に対する仕入額を別途計算しなければいけないので、経理担当の負担が少々重くなります。

ただ、課税売上高と非課税売上高が混在している場合でも、全体の売上高に対する課税売上高の比率が95%以上であれば、仕入額全体を課税仕入高として利用することが可能です。

簡易課税方式

簡易課税方式では、課税売上高に「みなし仕入率」と税率をかけて、消費税額を計算します。みなし仕入れ率は、業種によって40%~90%の範囲でそれぞれ数値が設けられています。

第1種事業(卸売業) 90%
第2種事業(小売業) 80%
第3種事業(農林・漁業、建築業、製造業など) 70%
第4種事業(飲食店業など) 60%
第5種事業(サービス業など) 50%
第6種事業(不動産業) 40%

簡易課税方式は、原則課税よりも計算が楽で、事務的な処理は軽減されます。ただし、みなし仕入率が低い業種の場合、原則課税よりも消費税額が高くなることもあるので、要注意です。簡易課税方式を利用できるのは、「基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者」に限られます。

また、簡易課税方式を採用する場合は、あらかじめ「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要があるので、簡易課税方式を利用する場合は提出を忘れないようにしましょう。

個人事業主の場合は、法人化するのもアリ

個人事業主で課税事業者になっている場合は、法人化することで消費税を節税することが可能です。法人化すると、「2年間」消費税が免除されます。開業2年目までは、前年度の売り上げ残高は「0円」ということになるので、消費税がかからないのです。

個人事業主として新規開業して2年後に法人化をすれば、最長で「4年間」消費税を支払う必要がありません。ただし、法人化した後6ヵ月間の売上・役員報酬などの給与額が、両方とも1,000万円を超えてくると、2年目からは消費税納税の義務が生じます。法人化してから6ヵ月間で、売上や給与額が1,000万円を超えてくるのは稀ですが、条件に該当しないよう注意してください。

まとめ

消費税は、個人事業主・法人化してから2年間は徴収されません。また、条件を満たせば3年目以降も消費税が免除となります。別会社を設立して、事業を分散させることで、消費税を抑えることも可能です。消費税免除の制度を利用して、効果的に節税を進めていきましょう。

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