小規模企業共済とは|メリット・デメリットなどわかりやすく解説
記事作成日 2020/07/17 記事更新日 2023/02/05
今回は、小規模企業の経営者や個人事業主のための退職金積立制度、「小規模企業共済」についてご紹介します。小規模企業共済は、「積立」しながら「節税」ができる、小規模企業の経営者や個人事業主にとってメリットの多い退職金制度です。
本記事のポイント
- 小規模企業共済の掛金は全額所得控除できるため、所得税・住民税の節税になる
- 共済金の受取りは一括・分割どちらも可能で、受取り時も税制メリットがある
- 解約する際は注意が必要
将来の生活資金を確保しつつ、節税対策もしたい事業主の方は、ぜひ最後まで読んで検討してみてください。
Contents
小規模企業共済とは何か
小規模企業共済制度の概要
小規模企業共済とは、小規模企業の経営者や役員、個人事業主のための退職金積立制度です。国の機関である中小企業基盤整備機構(通称:中小機構)が運営しています。昭和40年に始まった制度で、現在の加入者数は約138.1万人です。運用資産は国内債権が約8割で、約2割が運用機関に委託されており、安心で確実な共済金制度と言えるでしょう。
掛金は、月額1,000円~7万円までの範囲で500円単位で自由に選択でき、加入後も増減可能です。さらに、掛金は全額が所得控除の対象です。また、共済金の受取りは「一括」「分割」「一括と分割の併用」を選択できます。
小規模企業共済の加入資格
細かい規定はありますが、ざっくり言うと、個人事業主や従業員が5~20人以下の小規模事業の経営者・役員等が該当します。
- 建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、
不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員 - 商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、
常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員 - 事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員、
常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員 - 常時使用する従業員の数が20人以下であって、
農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員 - 常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
- 上記「1」と「2」に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者
(個人事業主1人につき2人まで)
※引用元:中小機構公式HP
小規模企業共済の節税効果
掛金全額が所得控除の対象
確定申告の際に、その年に支払った掛金全額について所得控除が受けられます。
(小規模企業共済等掛金控除)
基礎控除、扶養控除、社会保険料控除等の所得控除に加えて、掛金全額が課税対象となる所得から控除できるので、所得税、住民税の節税対策になります。節税効果のシミュレーションについては、以下のサービスをご利用ください。
https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/entry/simulation/index.html
共済金受取時も税負担が少ない
共済金の受取りは「一括」「分割」「一括と分割の併用」を選択できますが、受取り時には課税されます。一括で受取る場合は「退職所得」、分割で受取る場合は公的年金等の「雑所得」となり、税負担が軽減されます。
小規模企業共済のメリット
貸付制度が利用できる
最大のメリットは、上記の掛金の所得控除による節税効果ですが、低金利の貸付制度を利用できるという利点もあります。掛金の範囲内で、低金利で事業資金を借り入れることができ、最短即日で貸付ができる制度もあります。
小規模企業共済のデメリット
ここまで、小規模企業共済の魅力的な点を紹介してきましたが、注意点やデメリットもあります。結論は、廃業や老齢給付(65歳以上で15年以上納付)などによらない、自己都合の任意解約は避けた方がいいということです。
20年未満で任意解約すると元本割れのリスクがある
納付期間20年未満で、以下のような廃業などの理由によらない、自己都合の解約をした場合には元本割れのリスクがあります。
- 事業の廃業
- 事業の譲渡
- 老齢給付(65歳以上で15年以上掛金を払い込んでいる)
- 個人事業から法人成りして法人役員にならなかった場合
また、受取り時の解約手当金は一時所得となり、掛金を必要経費にはできないため、税制上不利な扱いになります。なお、掛金納付月数が12ヶ月未満の場合には、掛け捨てになるので注意が必要です。加入時には無理のない納付計画を立てることが大切ですね。
小規模企業共済の加入手続き
確定申告書などの公的書類や申込み用紙など、各種書類が必要です。加入手続きは、委託団体(商工会など)や金融機関で行う必要があります。必要書類や加入窓口の詳細は、中小機構の公式ホームページ「加入手続き」よりご確認ください。
こんな人におすすめ
- 税負担が大きく資金繰りに余裕がある方
- 長期的な資産運用に抵抗がない方
小規模企業共済は貯蓄しながら節税もできる、メリットの多い制度です。
こちらも併せてご確認下さい。
まとめ
以上、小規模企業共済の節税効果やメリット、デメリットなどを解説してきました。自分で退職金を用意しなければいけない個人事業主にとっては、おトクで魅力的な制度と言えるでしょう。
月額1000円からはじめられるので、一度検討してみてはいかがでしょうか。加入を検討する際には、デメリットも踏まえて、綿密に計画を立てましょう。当社は税理士法人を保有していますので、気になる点などがございましたらお気軽にお問い合わせください。
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